『シャイニング』 キューブリックが僕たちに投げかけた謎、その答えがこれだ!!!(前編)

2019年12月1日

ネタバレ解説です。見た人だけ、この長〜い解説をどうぞ。後悔はさせません!

どーも、ロッカリアです。
今日は長くなるので、前編と後編に分けてアップします。(前編だけでも原稿用紙10枚分以上あります…)

『2001年宇宙の旅』で味をしめたのか(笑)、この『シャイニング』でも見た人を、色んな解釈が出来るような、謎多き作品に仕上げています。
それ故に、何が本当なのか? この作品の正体は、一体何なのか?
その謎を一つひとつ拾って考察し、真実はひとつ!!(コナン君…)と言う、誰もたどり着いたことがない、完璧なエンディングを解説したいと思います!(妄想妄想…)
それでは早速、スターティン!(……)

この映画をややこしくしているのは、キューブリックが二つの軸を交差させたがゆえに、見た人が混乱しているんです。
その二軸を説明する前に、ラストの写真に映り込んでいるジャックの説明をしておこう。
エンディングで、写真の中にジャックが写っているが、その日付が1921年7月4日、となっている。
現代で起こった出来事なのに、なぜ最後になって、何十年も前の写真の中にジャックが写っているのか?
これは、キューブリック自身がこう答えている。

“最後の舞踏会の写真は、ジャックの生まれ変わりを示唆しています。"(ミッシェル・シマン著「kubrick」)

つまり、この物語は、ジャックの輪廻転生を描いた映画と言うことを、さり気なく最後の写真で表した、と言っているのです。

ジャック・トランスの軸

彼は、1921年の写真に写っている男の生まれ変わりだ。
アルコール依存症のジャックは、冬期の間、オーバールック・ホテルの管理人の仕事を受け、酒を断ち、小説を書ける環境を喜んだ。
面接の時に、前の管理人、チャールズ・グレディは孤独に耐えられず、気が狂って家族を斬殺し、本人も自殺したと言うエピソードが、前振りとしてある。
最初、ジャックは順調に執筆していたが、息子のダニーが入ってはいけないと言われた237号室に行き、首を締められ、妻のウェンディはジャックがやったと罵る。
過去に誤ってジャックに怪我をさせたことがあったからだ。
ジャックはムシャクシャして、パーティーが出来るほど広いゴールド・ルームに行く。
誰もいないカウンターに座ると、ジャックは「ああ、酒が欲しい。魂を売っても一杯のビールを…」と呟く。
アルコール依存症のジャックに、禁断症状が出た瞬間だ。(この以前にも、タイプを打つジャックを邪魔したと、感情むき出しでウェンディに激怒するシーンもある)
そして、ジャックが目を開けると、目の前にバーテンダーと酒が並んでいた。
このシーンを見て、多くの人は幽霊がついに姿を現した! と思っただろうが、それは違う。
なぜなら、そのバーテンダーに向かって、ジャックは「やあ、ロイド」と久しげに名前を呼ぶ。
バーテンダーのロイドも、「トランス様」と答える。
二人は顔見知りなのだ。

いつ知り合ったんだい? それは1921年当時の頃だ。
じゃあ、やっぱり幽霊として現れたんじゃないのか?
それも違う。
ジャックはこの時、アルコールによる禁断症状が極限に達し、前世の記憶が蘇えり、フラッシュバックしたその世界に入り込んでいたのだ。
前世の記憶との世界と断言するのには、二つの理由がある。
この後の展開で、このゴールド・ルームで、客は楽しそうに踊ったり酒を飲んだりしている、パーティーのシーンがある。(もちろんロイドもいる)
考えてみて欲しい。
この集まった客が、全て幽霊だと解釈するのには無理があるはずだ。
このホテルに、これだけの幽霊が存在するなら、この人数が何らかの要因でこのホテルで死に、取り憑いている、と言うことになる。
パーティーの客は、宴が終わるとそれぞれの家に帰えるので、全員がホテルで死んだと考えるのは無理がある。
それよりも、ジャックの前世の記憶に基づいた世界、そう解釈した方が自然ではないだろうか。
もう一つの決定的なシーンがある。
これは、ワンシーンを何十回と撮り直すキューブリックが、わざと分かりにくいような演出をするので、気が付いた人は少ないだろう。

そのシーンと言うのは、ゴールドルームでロイドと会話を楽しんでいる時、ダニーから237号室の知らない女に首を絞められた、と言う話を聞いたウェンディが、ジャックの名前を大声で呼びながらゴールドルームに入って来る。
が、ジャックは振り向きもしない。
そしてウェンディが近づいて、ジャックの肩を掴むと、ジャックの頭が、一瞬前にカクッと揺れてから、我に返ったようにウェンディの方に振り向く、と言うシーンがある。
ジャックが、記憶の世界から我に帰ったシーンの演出に間違いない。

ジャックが狂い出すのもこの頃で、酒の禁断症状に加え、前世の記憶が混乱を招き、その引き金を引いたのだ。
ジャックがウェンディの話を聞いて、237号室に向かい、そこで裸の美女(老婆)の幽霊に襲われる。(このシチュエーションで、女とキスをするなど、普通はあり得ない。僕なら浴槽から出てきた瞬間叫んで逃げる! ジャックの異常性がここにも現れている)
部屋に戻って、このホテルから逃げようと言っていたウェンディを引き止めるために、「誰もいなかった、何もない」と言う。
ジャックがこのホテルを出たくなかったからだ。
この軸は、ジャックの酒の禁断症と、フラッシュバックした、前世の記憶の世界が描かれている、と言うのがポイントなのだ。

オーバールック・ホテルの軸

このホテルが呪われている、と言う軸だ。
ジャックとホテルに到着し、支配人がホテルの説明をする。
「このホテルは、インディアンの墓の上に建てられた。建設中にもインディアンに襲われた」と説明が入る。
そして、このホテルに、幽霊が本当にいるとい事も映像で見せる。

237号室の女の幽霊は、ダニーとジャックの二人が見ているし、前の管理人、チャールズ・グレディが殺した双子の幽霊を、ダニーは何度も目撃している。
チャールズ・グレディも、その後ジャックの前に現れる。(ここが最大のポイント! 後で)

後半、ダメ押しのように、やっぱりこのホテルは呪われていると言う演出で、ウェンディが見る、ブタの着ぐるみのようなものを着た男と、フォーマルで決めた男の霊を見せる。
それと、フォーマルを着て、頭から血を流してグラスを持っている男も。(物語には関係ないが、これにも意味がある。後で)
この軸は単純だ。
このホテルは呪われいて(正確に言うと、インディアンの呪い)、幽霊も本当にいる、と言うのがポイントだ。

確信、核心

この二つの軸、「ジャックの前世の記憶の世界」と言うのと、「ホテルには幽霊がいる」と言う事を分けるのが重要なのだ。

ジャックが2度目にゴールド・ルームに行くと、パーティーが開かれていた。
みんなが楽しそうに酒を飲んだり、ダンスをしている。
あの写真のようなパーティーで、ジャックの前世の記憶の世界を描いている。
ジャックもロイドに酒を頼むと、お金を払おうとするが、ロイドは受け取らない。
「あなたのは通用しませんから」(※ただし、ソフトやオンエアによって訳が違うが、要点は得ていると思う)
その証拠に、1回目は「ツケにできるか?」とジャックからロイドに聞いていて、お金をロイドに見せていない。
キューブリックは早い段階でタネを明かしたくなかったのだ。

酒を持って、踊りながら楽しそうに席を移動するジャックに、水を差す奴が現れる。
初老のウェイターで、卵の入ったカクテル(?)を誤ってジャックにかけてしまう。
ウェイターは謝罪して、シミになるからトイレの水で洗い落としますと、ジャックを連れて行く。
不思議だ、このウェイターの記憶が、ジャックには無い。グレディにも、この時点では無い。

※ おそらく、ジャックがこのホテルに勤めていた時代の従業員では無い可能性がある。なら、どうしてジャックの記憶の中に現れたのか? 意図的に登場させた奴が、この後正体を現す。

トイレで服を拭いている時に、ジャックは思い出した。
名前を聞くと、デルバート・グレディと名乗る。
え? チャールズ・グレディだろ、新聞で顔を見た、君は娘を二人殺して、自分を猟銃で撃ち、自殺したのを知っているぞ、とジャックが言うが、グレディは不思議そうな顔をして、はて?、そのような記憶はありませんが……と、まともな顔をして答える。

ジャックが不思議そうにグレディを見ていると、急に表情を変え、「はい、私は娘をしつけました」と、その事実を急に認める。
何の事か分からなかった人がほとんどだろう。
今まで否定していたじゃ無いか!

この瞬間だ、悪霊がジャックの前世の記憶の世界に入り込んで来たのだ。

おかしいと思わないだろうか?
デルバート・グレディと名乗った男は、あの幼い双子の父親にしては、おじいさんと言えるほど歳を取っているじゃないか。
ジャックは、チャールズ・グレディの顔を新聞でしか見ていない。
ジャックが見たグレディは、もっと若かったはずだ。(←これは推論だが、ラストのジャックの写真も、若そうな、そうで無いような、写真だと判別が難しいと思う)

この二人のグレディ、実は、チャールズはデルバートの生まれ変わりなのだ。
ええっ! 生まれ変わりが二人もいるなんて、それはあまりにも妄想過ぎない!?

繰り返し言っておこう。
このホテルはインディアンの墓の上に建てれ、呪われている。
インディアンの部族によっては、生まれ変わりを信じている。

ほら、よく西部劇なんかで見たでしょ、インディアンが「あいつは勇者〇〇の生まれ変わりだ!」なんてセリフ。
キューブリックは、インディアンの呪いを強調するかのように、ホテルに彼らの織物、タペストリーがたくさん飾ってあるのは、そう言う意味なのだ。
ついでにここで言っておくが、エレベーターホールの壁から、大量の血を流れ出す映像をダニーが見る。
この意味は、この地でインディアンの血が多く流された、ホロコーストをイマジネーションとして見せているのだ。
ホテルの呪いによって、生まれ変わったジャックとチャーズルが引き寄せられたのだ。
チャールズがデルバートと入れ替わった瞬間、顔の表情が一変するのも、細かい演出だ。

どうやら4000字を超えたので、続きは後編で!

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