『シャイニング』 キューブリックが僕たちに投げかけた謎、その答えがこれだ!!!(後編)

この記事は(後編)なので、まずは前編(↓)からお読みください。

続・確信、核心

実は、このジャックとグレディの会話シーンで、最も頭を悩ませたのが、この会話だった。
ジャックが、妻子がいると言ったグレディに、「今はどこに?」と聞くと、「この近くです。よく知りません」と答える。
家族なのに、近くにいるがよく知りません?
どう言うことだ?
やっぱり、このグレディは、前世のデルバートではなく、元々チャールズで、殺した事をとぼけているのか?
とすると、、最初からジャックに近づいて、取り憑いてやろうと思っていたんだろうか?

そこで、ブルーレイを取り出して、英語字幕で見ると、「よく知りません」と言う部分が、at the moment、普通に訳すと、この瞬間は、とある。
つまり、ジャックと会話しているこの瞬間は、どこに居るのかわからない、と訳せる。(自信ないけど…)
まとめるとこうだ。
ジャックが家族の事を、今どこにいる? と聞いてきたので、「近くにいます、ま、今この瞬間は何処にいるのかは知りませんけど」とジョークで答えて見せたのだ。
その証拠に、ニコニコ笑いながらそう答えているの。

そう解釈すると、やはりこの時点でのグレディは、デルバートなので、家族を殺しただろ!? と言われても、本当に、そんな記憶がなかったんだと解釈できる。(なんども言うが、双子の父親としては、このグレディは、どう見ても歳を取りすぎているのだ)

さらにジャックが、確かにここの管理人だと詰め寄ると、しばらく間が空いて、デルバートがチャールズに変わり、いいえ、あなたこそ、ここの管理人です。ずっと昔から(英語では、永遠に、常にと言う単語、「always」を使っている)と言われ、ジャックの表情が変わる。
しかしこれはウソだ。(ほら、「うしろの百太郎」でも、悪霊はウソをつくって言っていただろ)

何故なら、ジャックは今も生きているのだ。
そして、チャールズが管理人をしていたのも事実だ。
この二つを考えると、事件を起こしのが1970年、ジャックの年齢から言っても、現代劇だとしてこの映画が制作が1980年、なら、10年前の出来事になる。
ジャックが、この時点で幽霊であれば、そう言う理屈も通用するかもしれないが、もしジャックがずっと管理人なら、チャールズの生まれ変わりでもあると言う事になり、年齢的にも辻褄が合わない。
チャールズはウソをつき、混乱し、狂い始めたジャックに邪悪な惨劇を吹き込んでいるのだ。

さらに、息子のダニーが「私たちの世界」(1921年の白人至上主義の世界)に、黒人の料理人を入れようとしているが、知っているか? と言い、そんな事をさせてはいけない、しつけをしなければいけないと、ジャックを焚きつける……。

  このシーンの解釈が難しいのは、グレディがジャックの問いに、チャールズではなく、デルバートだと名乗った事。
もし、チャールズが嘘をついて、殺しにも記憶がないと言ってジャックに近づいたのなら、直後に認めるのだから、そんな事をする意味が無いなのだ。
それまで普通の男、デルバートと入れ替わった悪霊がチャールズで、あの不思議な「間」が、入れ替わった瞬間なのだ。

ジャックは、まず妻のウェンディを殺そうとして襲うが、反撃に遭い、階段から落ちて意識を失う。
ジャックを引きずって貯蔵庫に閉じ込め、外から鍵をかけるが、僕がチャールズを悪霊と呼ぶのは、このシーンの印象が強烈だからだ。
〈シーン1〉
意識が戻ったジャックに、チャールズの声がする。
失敗しましたね、情けない、あなたを買い被っていましたと、ジャックを卑下する。
たまらず、今度は失敗しないと誓うと、貯蔵庫のカギが外れる音がする。
単にジャックが狂っているだけなら、物理的に無理な事だ。

〈シーン2〉
ダニーが双子の惨殺された現場を見るシーン。
血塗れになった双子のそばに、斧が落ちている。
ジャックがハロランを殺し、ウェンディとバニーを追いかけるその手には、それと斧と同じ形のものを持っている。
いかに怨念が強いのか、と同時に、その因果関係を知る重要なアイテムとして使われている。

やがて物語は一気にクラマックスへと向かうが、ウェンディの力について言及する必要がある。
ウェンディは、ジャックがハロランを殺しに向って部屋を出ると、ダニーを探そうとして同じように部屋から出る。
すると、ホテルのあちらこちらで幽霊を目撃するが、今になって、何故そんなに多く見えるのか?

ハロランとダニーの会話の中に、ハロランがこんな事を言っていた。
「私と祖母は、言葉を交わさずに話していた」つまり、ハロランのシャイニングは、祖母から引き継がれたもので、ダニーのシャイニングも、母親から受け継いだのでは無いか?
それを裏付けるように、ハロランは、特殊な力を持った人間しか、幽霊を見ることが出来ないと言っている。
そしてダニーが見た、血の洪水を、ウェンディも同じように見てしまう。
おまけに、貯蔵庫に閉じ込められたジャックに、グレディが、想像以上に頭の良い女で、知恵も工夫もあり、只者ではないと称えていた。

ウェンディは、ジャックに殺される寸前まで追い込まれ、その力が発動したんじゃないかと思える。
それプラス、キューブリックはクライマックスとして、このホテルがいかに呪われているのかを、ビジュアルで見せたかったんだろう。

最後に、問題の写真に疑問を持った人はいないだろうか?
僕はこの写真を見る度に、不思議に思うことがある。
冬の間、管理が必要だから管理人を雇う。
なのに、写真の日付は独立記念日の7月4日、つまり真夏だ。
さらに、管理人という、裏方の仕事が多い職業の人間が、あのパーティー客の一番前、ど真ん中にいるのだ。
これは違和感以外の何物でも無い。
おそらく、1921年当時のジャックは、このホテルの支配人クラスではなかったのか。
グレディが言っていたような、ずっとここの管理人だ、と言う言葉が信じられない。

まとめる

アルコール依存症を抱えたジャックは、オーバールック・ホテルの管理人としてやって来る。
ところが、思うように原稿も書けず、息子は何者かに首を絞めれるが、妻のウェンディは過去の暴力を引き合いに出し、今度のこともジャックの責任にされてしまった。
面白く無いジャックは、酒が飲みたくて仕方がない。
極限に達したその思いは、1921年の前世のトランスの記憶を蘇させた。
なんと居心地のいい世界なんだろう。
そんな時に、このホテル野237号室に、幽霊がいる事を知る。
妻は仕事を投げ出して、ホテルから逃げようと言うが、こんな居心地のいい世界から去るなんて、この女は俺の人生をどこまで邪魔するのか、ジャックは妻が憎らしい。

そして、ジャックはまた幽霊と出会う。
今度はジャックも顔を知っている殺人鬼だった。
そいつは低姿勢で、ジャックのこともよく知ってくれていた。
この素晴らしい世界に、息子のダニーは、わざわざ黒人を入れようとしている。
それはダメだ。
そんな事をしたらこの世界が崩壊してしまう。
それだけは絶対ダメだ、自分の居場所がなくなってしまう。
だが、妻殺しは失敗し、自分は閉じ込められてしまった。
グレディはそれでも許してくれ、もう一度チャンスをくれた。
今度こそ失敗はできない。
ダニーが迎い入れた、黒人のハロランは殺した。
今度はダニーだ。
しかし、せっかく迷路に追い込んだのに、寒さと疲労で心臓が悲鳴を上げている。
もう走れない。
その場に腰を下ろすと、ジャックはそのまま凍死してしまった。
最後に写真の中のトランスが笑っている。
白人にとって、いい時代だったのだ……。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
偉そうに書いてきましたが、これは全て、僕個人の解釈なので、腑に落ちない人もいると思いますが、どうか広い心で読んでください。
なにせ、一番狂っているのは、僕かも知れませんので……。


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