映画『メグレと若い女の死』逆転の発想を持つ渋〜い探偵物語!
どーも、ロッカリアです。
フランス・ミステリーにおける名探偵と言えば、個人的に、真っ先に浮かぶのがメグレ警視。
謎解き重視のミステリー小説と違い、ジョルジュ・シムノンの描く世界は、登場人物の心情風景と、舞台となるフランスの風景が見事にマッチする、叙情的な描写がとても好きです。
さて、そんなメグレ警視は、今回どんな事件に遭遇したのでしょうか?
ゆっくり紐解いて行きましょう。
最大の 謎、「犯人は何故5か所も刺したのか?」
・ジョルジュ・シムノン原作の映像が見たい
・暗く渋いトーンのミステリーも好きだ
・1950年代のパリを体験したい
ジョルジュ・シムノンが生み出した、名探偵役のメグレ警視は、巨漢に中折れ帽を被り、いつもパイプをくわえて事件の捜査に乗り出す。
これはトレードマークと言えるが、今回のメグレ警視は、肺に問題を抱え、その検査結果が出るまで禁煙、つまり本作ではパイプを吹かすシーンがない、珍しい作品となっている。
肺の検査結果がどうなるのか? と言う心配事も手伝い、全体的には暗いトーンで物語は進んで行く。
パトリス・ルコント(髪結いの亭主)監督の演出も、そこに狙いがあるようだ。
同名タイトルの原作小説も傑作との評判が良く、ジェラール・ドパルデューのメグレ警視も、原作のイメージに一番近いと高評価。
ただ、個人的に思うのが、最後の謎解き。
時代背景が1953年と言っても……。(この辺は最後に、ネタバレで解説します)
▶︎▶︎▶︎ 1953年パリのモンマルト、ヴァンティミーユ広場で事件は起こった。
若い女性がドレスを真っ赤に染め、殺されていた。
死体には5か所の刺し傷があり、メグレ警視は殺人事件として捜査を始める。
ところがいくら調べても、殺された女性の身元が分からない。
捜査が暗礁に乗り上げた頃、メグレはどことなく被害者の女性に似た若い女、ベティが、万引きしようとした瞬間、その手を掴み、思いとどまらせる。
その女が空腹だと知ると、メグレはレストランに連れて行き、食事をご馳走しながら事情を聞く。
ところが、メグレが警察の人間だと知ると、女は逃げるように店を出て行った。
メグレは、逃げた女と、殺された女が重なり、女の後を追い、地道な捜査を続けるが、事件は意外な方向へと転がり出す……。
誰が犯人?
はっきり言って、誰が犯人なのか? と意気込んで見るようなミステリー作品とは違います。
原作同様、殺された女はいったい誰なのか? そして、何故殺されたのか?
ここにフォーカスが置かれ、それを解明するメグレの地味な操作に、観客が付き合わされる作品なんです。
パトリス・ルコント監督は、登場人物すべてに目を配り、その人物像をスクリーンに投影している。
その結果、派手なアクションや残虐なシーンを見せる事なく、淡々と物語を進め、メグレと相対する人物描写を的確に描くことで、ドラマの質を落とすことなく、最後まで見る観客を飽きさせません。
また、殺された女によく似ている女性、ベティの登場に、メグレはひょっとして、恋心を抱いたのか?
いや、それとも、失った娘の姿を重ね合わせたのか? どちらとも取れる演出は、ルコント監督の職人技としか言いようがありません。
ただ、少し難点もあります…
純粋なミステリー作品として見た場合、少し……、いや、かなり引っ掛かる所が有ります。
これは、ある意味逆転の発想と言えるのですが、それはネタバレなので後で解説します。
これは最後の謎解きに大きく関係して来るので、未見の人は、それが何なのか、ご自分の目で確かめて下さいね。
ここからはネタバレです。
さて、この作品の舞台は1953年と言う事ですが、ラストで検視官がメグレに殺された女の死因いついてこう告げます。
「女の死因は、刺された事によるものでは無く、首の骨やその他の骨折、打撲によるものだ」と……。
それを聞いたメグレは、階段から落ちて死亡した後に、偽装するために後からナイフで刺したのだと結論する……。
ええっ!
根本的に、この作品のミスリード、少しひどくないかなぁ……。
首の骨が折れているなんて、死体を解剖するまでも無く、すぐに分かるんじゃないだろうか?
たとえ死体でも、首の骨が折れていたら、運ぶ際にもグニャとして、一番に以上に気付くのではないだろうか?(程度によるかも知れませんが…)
いや、ひょっとして、5ヶ所の刺し傷を、一目見てこれが死因だと判断・決断した事で、死体の解剖は後回しになったのだろうか?
どちらにしても、少し疑問が残る謎解きだと感じました。
個人的にですが、僕は、ミステリー特有の、「あっ、騙された!」と言う感覚とは、少し違いました。
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