『シャイニング』 追記

2020年10月13日

どーも、ロッカリアです。
前編・後編を書くのに、熱が入り過ぎて、書き忘れていた事があるので、ここにアップしておきます。

本編を読まれてない人は、まずこちらの記事から読んで下さい。

ブルーレイの特典映像

スタンリー・キューブリックは、この映画を撮影する際、娘のヴィヴィアンに、16ミリのカメラをプレゼントしました。
するとヴィヴィアンは、この映画の裏側を、奇しくもドキュメンタリー風にずっと撮影、これがメイキング映像としてBBCでもオンエアされ、それが特典映像として、ブルーレイに収められていました。

● 最大の事件は、この中でも語られていますが、2度にわたるセットの火災です。
これは有名な事件で、扱っているテーマがテーマなので、当時は幽霊の仕業だと噂が広まり、あのUFOディレクターの矢追純一が11PM の取材で、ヴィヴィアンにインタビューを決行したのも話題になりました。
しかし、メイキング映像では、この火災が起こった時、彼女は所用で現場から遠く離れたところにいて、映像には収まっていません。

● あと、これも有名な話ですが、最初のオーバールック・ホテルの全景だけが実際にアメリカにあるホテルで、あとは全てイギリスで作られたハリボテのセットです、迷路も含めて。
そこまでは驚きませんが、あの寒そうなシーンでも、結構暑い日があったり、雪を表現するに使ったのが全部「塩」と言うのも驚き、降って来る雪はポリエステルだそうです。(塩は900トンだと言われています)

● 俳優たちに関する映像がユニークで、ジャックの妻を演じたシェリー・デュバルは、クライマックスでずっと涙を流していたので、途中で涙が枯れてしまい、目の下にワセリンを塗って演技をしていたそうです。
主人公のジャック・ニコルソンは、彼女の話を聞いていると、本当にすごい俳優さんと言うのがよく分かります。
ジャックは、あんな狂気じみた役をして、本番中は近寄り難いムードを出しているにも関わらず、カットの声がかかると、すぐに素のジャックに戻ると言う、切り替えが驚異的に早い、とんでもなくすごい人だと絶賛していました。

● これは余談で、作品を見て気が付いている人も多いでしょうが、バーテンダーのロイドを演じたジョン・ターケル。
この映画の2年後に、傑作『ブレードランナー』に出演、タイレル社の社長、タイレル博士を演じていました。

シンメトリーが多いのは昔から

● ある評論家さんが、この映画はシンメトリーが多く用いられ、重要なシーンで鏡が出て来るから、ジャックは「鏡の国のアリス」のように、鏡の向こうの世界と、現実の世界とを行き来している、だからジャックはトイレでも姿が鏡に写っていない(このシーンを見て、ジャックは幽霊だと…)と言うが、よく見て欲しい。
ジャックとグレディがトイレに入って来る時は、バッチリ二人とも普通に写っているじゃないか。
以後鏡に映らないのは、単純に立ち位置とカメラの位置の問題だ。

キューブリックがシンメトリーで映像を表現するのは、何もこの作品が初めてではない。
『突撃』の頃からの彼の美学なのだ。(よ! さすがオールドファンじゃないか!)
その証拠に、面白い映像があったのでアップしておきます。

これは、「One-Point Perspective」と呼ばれる撮影法で、元々フォトグラファーだったキューブリックの映像に対する哲学だと思えます。

一度見ただけでは、キューブリックの作品は理解できない

この『シャイニング』だけではなくて、キューブリックの殆どの作品は、一度見たぐらいでは理解出来ないものが多いのです。
僕は彼の『2001年 宇宙の旅』を何度も見て、専門書を読んで、理解すると言う事を初めて覚えました。
映画は、本当に僕とよく遊んでくれるのです。
その楽しさを、今後も皆さんとシェアして行きたいと思っています。

 

 

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