映画『ガス人間㐧1号』特撮とラブ・ストーリーのハイブリッド作品!
「変身人間」シリーズの第3話をご紹介します
ガス人間は、完全犯罪を目指す!?
こんな人にオススメ!
- ガス人間がなぜ誕生したのか知りたい
- 「変身人間」シリーズは全て見たい
- 切ないラストシーンが好き
どんな映画?
『電送人間』と同じ1960年に作られ、『美女と液体人間』の監督、本多猪四郎が再びメガホンを取った。
ガス人間となった男の犯罪を描きながら、切ない恋愛物語となっている所にも注目。
犯罪あり、殺人ありの恐怖映画仕様ですが、日本舞踊の家元、藤千代の夢と、ガス人間(土屋嘉男)になってしまった男の夢、この二人の執念と挫折が裏テーマのように存在する。
愛する人へ、全てを投げ出すガス人間。
ラストは、特撮映画と言うことを一瞬忘れ、切ない気持ちになります。
▶︎︎▶▶︎ 銀行強盗犯の車を追って、岡本警部補(三橋達也)の乗ったパトカーが追い詰める。
ところが、逃走車は田舎道の崖から落ちてしまう。
すぐに駆け寄るが、大破した車の中に、犯人の姿はなかった。
その時、近くから音が聞こえてきた。
犯人の行方を探しながら、音のする方へ行ってみると、日本舞踊の名家、春日家にたどり着いた。
岡本警部補は、春日藤千代(八千草薫)の舞いに惹かれながらも、強盗犯と何か関係があるかも知れないと、密かに感じていた。
襲われた銀行の金庫と言うのが、完全密室のうえ、扉の鍵は警備員が持っていた。
警察の捜査は、完全犯罪に行き詰まっていた。
そんな時、またしても銀行が襲われ、警察が急行するが、犯人は衆人の前で、煙のように消えてしまった……。
見所&解説
『T2』かっ!
見所は何と言っても、ガスから人間の姿になったり、その逆を特撮で表現しているところ。
しかも、ジェームズ・キャメロンが監督した『T2』
T-1000が身体を液体化して、鉄格子をくぐり抜けるシーン、これと全く同じシーンがあって、映画ファンなら「おおっ!」と、思わず声を上げるかも。
ガス人間とは?
ガス人間となってしまった水野は、若い頃、自衛隊のパイロットになるのが夢だった。
ところが、身体的に弱いと診断され、自衛隊の道は閉ざされ、図書館員として働いていた。
そんな水野に、マッド・サイエンティストの佐野博士は、体を強化すれば、パイロットどころか、宇宙飛行士にだってなれると持ちかける。
水野は、強い肉体を手に入れられると信じ、佐野博士の実験に参加する。
ところが、その結果は佐野博士も予想だにしなかった、身体がガス状になってしまう、ガス人間を生み出す結果になってしまう。
水野は、博士の実験で、何人もの若者が犠牲になったことを悟ると、博士をガスで窒息死させる。
没落の名家
春日家の家元、藤千代は、没落した春日家を再構築しようと必死だった。
だが、そのためには発表会を開かないといけないが、そんな資金は残っていなかった。
その藤千代の夢を叶えようと、水野は無敵の体で、銀行を襲い、金を奪っていた。
犯罪に言い訳は通用しないが、映画として見ると、そこに悲哀が感じられる。
藤千代も最初、提供されていた金が、どんな事情のものか知らなかった。
そのため、自身も留置場に入れられ、そこで水野の犯行を知る。
水野は、藤千代を助けるために、留置場に現れるが、彼女は名家としての誇りを見せ、逃げようとはしなかった。
そのプライドが、あのラストへと繋がって来る……。
最後の発表会、その後…
すべての事情を悟った藤千代、発表会が終わった、その後の行動には、胸を締め付けられる人もいるだろう。
特撮をいかしたラストシーン、ああ、この映画は「変身人間」シリーズだったんだ、と、観客を正気に戻してくれる。
特撮と悲恋を描いた、見事な幕切れが待っています。
映画は時代を反映している
だからこそ、こんな古い映画作品でも、若い人に見て欲しい。
昔から、現代に至るまで、人を愛する気持ちは普遍だし、昨今の映画より、ストーリーだって面白い。
これで、変身人間シリーズは終了しますが、この大人向けに作られた恐怖特撮シリーズのテイストは、以後も続きました。
『吸血ゴケミドロ』『吸血髑髏船』、そして、傑作『マタンゴ』へと、確実に受け継がれて行きました。
どの作品のどの部分にその影響を見る事が出来るのかは、このブログで取り上げるかも知れないし、取り上げないかも知れません。
「お、読者を煙に巻く気か!?」
いいえ、ガスです。
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