映画【タロットカード殺人事件』ウディ・アレンがマジシャンのように観客をダマします!

どーも、ロッカリアです。

いや〜更新に時間がかかってしまいました。
仕事を言い訳には出来ませんが、まあ、そう言う事です…(どう言うこと…)
さて、今回の作品は、実は見ている人が、最後まで見終わっても、自分が騙された事に気が付いていないのでは、と言えるような作品です。
後半は、見た人のために、ネタバレで解説もしています。

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幽霊が犯人を教える……、「え?」

・犯人が分かっていてもハラハラしたい
・サスペンスとコメディのハイブリッド作品が見たい
・騙されるのも、映画なら味わいたい

W・アレンが、ホームのニューヨークを離れて、アウェイのロンドンで撮影さえたコメディ・サスペンス。
ウディがマジシャン役で、彼と連続殺人事件を解決しようとする、ジャーナリスト志望の女子大生にスカーレット・ヨハンソン。
この二人に、犯人としてマークされるのがヒュー・ジャックマン。
この作品のオープニングが変わっていて、物語の中に一気に引き込まれてしまいます。

▶︎▶︎▶︎ 死神の船に乗って、日本で言う「三途の川」を渡っていた死んだジャーナリスト。
世間を騒がせていた「タロットカード連続殺人」の犯人の情報を、その秘書から(彼女も死んでいる)聞かされ、 居ても立っても居られなくなり、ゴーストとして、ジャーナリスト志望の女子大生に、犯人の情報を教える。
ゴーストが訪れたのが、シド(W・アレン)のマジックショーで使われる箱の中で、サンドラはその中で、ジャーナリストになりたければ、このスクープを新聞社に売り込めと、ゴーストから言われる。
その犯人は、大富豪でハンサムなピーター(ヒュー・ジャックマン)だと聞かされ、半信半疑だったが、成り行きでサンドラに協力する事になったシドと共に、ピーターの正体を暴こうとする。
ところが、ハンサムで紳士的なピーターに、サンドラは徐々に惹かれて行き、やがて恋に落ちてしまうが……。

現代版「切り裂きジャック」なのだが…

ミイラ取りがミイラになるんですが、犯人だと思って調査するうちに、その犯人に恋をするサンドラ。
あんな大富豪でハンサムな男が、犯人なわけがない、そう言って信用しなかったマジシャンが、段々犯人に違いないと考え、サンドラに代わって、富豪を追い詰めて行く。
いわば二重のミイラ取りがミイラにの状態……。

舞台をロンドンに

ニューヨークで、庶民の生活にフォーカスした作品と違い、ロンドンと言う事で、貴族社会のリッチな描写も描いています。
全く新しい演出で、ウディ作品に慣れ親しんだファンには、新鮮に映るかもしれません。

ところが、よくよくこの作品を観察してみれば、本当に人を食った、いつも通りのウッディ作品でした。
まず、殺人現場にタロットカードが置かれていた事から、「タロットカード連続殺人」として世間を騒がしているのに、殺人現場は一切見せないし、それどころか、タロットカードよりも、マジシャンには欠かせないトランプの方が遥かに出番が多い。
タロットカードの出番は、富豪のピーターの秘密部屋で発見されるシーンだけでした。
しかも……。

おっと、ここからはネタバレしないと語れないので、未見の人は、ウッディのマジックのような作品を見てから、もう一度遊びに来て下さいな。

ここからはネタバレで解説して行きます

至る所にウッディの罠が仕掛けられています

これほどまでに、大胆にミスリードをする作品は珍しいのではないでしょうか。
見終わっても、未だに騙された事に、気が付いいていない人も、いるんじゃないでしょうか。

一番の問題は、最後まで、誰もが大富豪のピーターが、タロットカード殺人事件の犯人だと思い込んでしまった事です。
冒頭で幽霊になった新聞記者が、ピーターの秘書から彼が犯人に違いないと、証拠もないのに打ち明けられ、これはスクープ(原題)だと思い込み、サンドラに吹き込んだのが原因。
これが最初の罠です。
その後何度もゴーストが現れ、挫けそうになったサンドラに、犯人はピーターに違いないと励ます。
ところがサンドラは、彼を知るうちに、犯人じゃないと確信する。
でも観客は、サンドラが騙されていると信じて止まない。

途中で、タロットカード殺人事件の犯人が捕まったと言われても、シドは彼が犯人だと信じているし、観客もそう信じていた。
なぜなら、ピーターの秘密部屋に、タロットカードがあったから。
実はこれもウッディの罠だったんですね。

サンドラの身の危険を感じたシドは、車でピーターの屋敷に向かうが、事故であの世に。
結局、ピーターは娼婦を一人、後半になって殺した事がサンドラにもバレて、彼女も事故に見せかけて殺そうとするが、決して「タロットカード連続殺人」の犯人では無かった、のです。

観客は、最初からウッディの罠に引っ掛かり、マジックショーのように、騙されてしまっていたのです。

こんな人を食った、映画は無いと思いませんか?
だから、ウディ演じるマジシャンのシドが、手品を披露する度に、こう言っていましたよね。
「あなたはとてもいい観客だ、これは嘘ではありません」と。

『タロットカード殺人事件』は、U-NEXTで見ることができます。(↓)

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