映画『アマルフィ:女神の報酬』クリスマスのイタリアが舞台のサスペンス

2020年12月15日

ロッカリア
どーも、ロッカリアです。
12月と言う事で、クリスマス映画を紹介していきます。

スポンサーリンク

映画『アマルフィ:女神の報酬』予告編

こんなクリスマスは嫌だ! 〈PART-1〉

   こんな人にオススメ!

  • イタリア・ロケの邦画に興味がある
  • クリスマスをサスペンス・アクションで楽しみたい
  • イタリアと言えばロマンスも期待したい

どんな映画?

イタリアで大々的にロケを敢行し、クリスマスからニュー・イヤーのハッピーなムードとは裏腹に、邦人の子供誘拐から、G8(先進国首脳会議)に絡む大事件へと発展する。
世界遺産のアマルフィを中心に、前半は身代金を持って、犯人の指示に従って観光的要素もあるが、全編を通じて緊張感があるのがいい。
フジTV開局50周年を記念して制作れたが、関係者が期待したほどのヒットには至らなかった。
多少(?)物語の設定には無理があるけど、サスペンスを主体に、アクションも楽しめる邦画としては良質で、見始めたら途中下車できない面白さがある。

▶︎︎▶︎▶︎ 娘とイタリア旅行に来たシングルマザーの矢上紗江子(天海祐希)は、博物館で娘とはぐれてしまう。
同じ頃、G8に備えてイタリアに赴任して来た、外交官の黒田(織田裕二)は、大使館に着くなり、邦人迷子の案件を手助けするよう、新人大使館職員の安達香苗(戸田恵梨香)と共に、渋々紗栄子の元に向かう羽目に。
すると、黒田の到着を待っていたかのように、紗栄子の携帯に「娘は預かった」と誘拐犯から連絡が入る。
イタリア語の分からない紗栄子に変わって電話に出た黒田は、咄嗟の判断で夫だと名乗った事から、誘拐事件に巻き込まれて行く。
ところが、この誘拐事件は、後に起こる重大事件のプロローグに過ぎなかった……。

見所&解説1〜ネタバレなし

イタリア・ロケは大成功!

外国での誘拐事件なんて、習慣や言葉が分からない者にとって、より深刻無問題だ。
そこに、颯爽と現れる外交官となれば、間違いなくヒーローだ。
ところが、織田裕二演じる黒田は、本来の目的と違う誘拐事件に、イヤイヤ登場し、犯人の忠告を破り、警察に真っ先に連絡を取る。(イタリアでは誘拐犯との取引は重罪になる)
そんな黒田の、一連の態度を見た紗栄子は、最初、強い反感を抱いて行く。
それが、この映画のオープニングでいきなり示されている。
性格の悪い外交官黒田、を印象付けるが、物語が進むにつれ、彼はどんどん観客の心を惹きつけて行く。
ラストに至っては、「織田ちゃん、カッコイイ!」と、歌舞伎の大向こうのように声を掛けたくなります。
誘拐犯の指示に従って、イタリアの観光名所を走らせるが、それが臨場感となって、その効果も抜群だ。

大人のロマンスが切ない…

誰にも頼らず生きて来た紗栄子の心は、氷がゆっくりと溶けて行くように、黒田に対する信頼から、心の内を見せるようになって行く。
そしてそれは、紗栄子本人も気付かない間に、黒田への思いへと変わっていく。
黒田も、アマルフィで犯人との待ち合わせ場所に、一人で向かう紗栄子の、心細い後ろ姿を心配そうに見送る。
彼の心が、男として揺れる瞬間だ。

だが、事件の渦中にいる二人の関係は、決して熱く燃え上がらない。
この映画の素晴らしい所は、あのエンディングで、その二人の感情を見事に表現した所だと思います。
これがなんとも切ないエンディングなんです。
さらに、クリスマスで賑わうイタリア、サラ・ブライトマンの歌、点在する名所の数々が、見るものをもてなしてくれます。
この季節に、未見の人にはオススメです。

見所&解説2〜ネタバレで深堀

もう見たよこの映画、と言う人に

この映画を見て、ちょっと不満に感じた人、いませんか?
面白い映画で、個人的には好きな映画だけど、冷静に見ると、「ん?」と思ったシーンが幾つかありますよね。

テロ計画がずさん過ぎる

このテロ計画、矢上母娘のイタリア旅行を軸に考えられているとしか思えない。
そんな計画はあり得ないだろうし、無理がある。
外務大臣が出席するG8のタイミングに、テロ計画を考え、準備しているようだが、もし矢上母娘に不足の事態が起こった場合、全ての計画は中止になる。(例えば、母娘のどちらかが急病になったり…)
また、博物館で娘を誘拐するが、もしトイレに行かなければ、犯人の誘拐計画は無駄だったはずだ。
また、紗栄子が一緒にトイレに入れば、犯人は一体どうしたんだろうか?
確実に、一人で行くことを前提にし過ぎている。

不思議すぎる

不思議な事がある。
まず、イタリア語が分からない紗栄子の携帯に、事情を知っている犯人は、なぜイタリア語で電話したのか?
近くに、イタリア語と日本語が分かる人物(この場合黒田)がいなければ、犯人はどうしたんだろうか?

更に、一番おかしいのが、セキュリティ会社「ミネルヴァ」での紗栄子の行動だ。
犯人は娘を人質に囚えているが、犯罪とは無縁の看護師の女に、あれだけの行動を取らせるのは、あまりにも無謀だ、そう考えた人は僕以外にもいるはずだ。

被害者が犯罪者になる。
アイデアはいいが、もし僕がテロの実行犯なら、こんな、偶然を当てにした、賭けのような計画は絶対に考えない。

それでも面白い作品には間違いない

考えれば考えるほど、不思議なテロ計画だが、それを差し引くというか、余計な詮索をしなければ面白いのはご存知の通りですね。
イタリアの大統領を狙っていると見せかけたり、監視ビデオのトリック、20年ぶりの大雪、黒田に翻弄される黒田に翻弄される新人の大使館員、福山雅治の新聞記者、そして何よりも、美しいイタリアの景色が、サラの歌声と相俟って、この作品をワンランク上のサスペンス映画を作り上げている、僕はそう思っています。

ヒッチ先生の【談話室】 『ローマの休日』へのオマージュ?

ロッカリア

ロッカリア

先生、今日は見ていて、ちょっと気になると言うか、引っ掛かるところがあったので、お聞きしたいんですが…
ヒッチ先生

ヒッチ先生

引っ掛かった所?
ええで、なんでも聞きや
ロッカリア

ロッカリア

織田くんと天海祐希が、誘拐犯からの指示で、身代金を持ってローマの街中を走らされますよね?
その時、スペイン広場にも行くんです。
そして、織田くんが階段を駆け上がるんですが、その時、落ちているジェラートを、思いっきり踏みつけてしまうんですよ、ぶにゅって…。
これって、どんな意味があるんでしょう?
ヒッチ先生

ヒッチ先生

まあ、普通に考えるなら、『ローマの休日』でオードリーが、あのスペイン広場の階段でジェラートを食べていたから、それに対するリスペクト、オマージュかな、と考えるわな。
でも、お前が引っ掛かってるのは、ジェラート踏みつけた、と言う事やろ? ぶにゅっと
ロッカリア

ロッカリア

そうなんですよ!
オマージュなら、あんなに見事にジェラートを踏みつけないと思うんです。(ぶにゅっと)
先生は、どんな解釈されたんですか?
ヒッチ先生

ヒッチ先生

解釈も何も、ああ、そんなもんか、とスルーしたわ
ロッカリア

ロッカリア

せ、先生…、そんなこと言っら、僕の立場がないじゃないですか
ヒッチ先生

ヒッチ先生

どんな立場や…。
まあええわ。
シンプルに、こんな解釈でええんとちゃうか。
「同じイタリアを舞台にしているが、この作品は、『ローマの休日』のように、そんなに甘いもんやないで〜っ」てな感じや。
もちろん、あの映画へのオマージュがあってこその演出やと思うで
ロッカリア

ロッカリア

なるほど、その解釈はいいですね!
なんだか、胸のモヤモヤ感がなくなりました!
先生、今日もありがとうございました!

作品インフォメーション

スポンサーリンク

サスペンス

Posted by rockaria