映画『エブリシング・エブリウェア・アット・オール・ワンス』心の中のマルチバース(多元宇宙)を見る、と言うこと

《還暦ブロガー》

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荒唐無稽の物語だが、要は人間愛がテーマ

・アカデミー作品賞を確かめたい
・日常に刷り込まれるSFは好き
・マルチバースには興味がある

2023年度アカデミー賞で、作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞・編集賞の7部門に輝いた、確かに、今までに無いような作風の作品。
カンフーの達人や人気女優、指がソーセージや石ころの世界など、様々な世界を行き来しながら、宇宙の破滅を止めることになるエブリンに、ミッシェル・ヨー。
その夫には、『インディ・ジョーンンズ:魔宮の伝説』『グーニーズ』の子役だったキー・ホイ・クワンが大人になって出演!
宇宙の破滅を止める使命を背負わされるが、これは、壮大な家族と、人類愛に焦点を置いた作品と言えます。

▶︎▶︎▶︎ 経営不振のコインランドリーの店主エブリンは、夫に突然離婚を告げられる。
税務署に向かうエブリンは、何もかもが上の空で、おまけに審査する上級監視官のティアドラ(ジェイミー・リー・カーチス)は鬼のような存在だった。
エブリンが経費のダメ出しをされ、困っていると、いつもの夫と雰囲気が違う夫が現れ、「君は、これから世界の危機を救うために、闘うんだ!」と告げられる。
全く意味が分からないエブリンだったが、そこに突然武装した兵士たちが現れ、銃撃戦が始まってしまう……。

「はいここ、ダメ〜」(ジェイミーリー・カーチス)

ジェイミー・リー・カーチスの主演映画(↓)

マルチバースはどこにある?

父の問題、娘の問題。夫の問題、店の問題、エブリンは最悪の状況に置かれ、自分自身を見失っていた。
しかし、多次元に存在する、何人もの自身を知る事によって、本当の自分、本来の自分の姿に目が覚める。
そして、あらゆる世界の中で、人生には、何が一番大切なのかを悟って行く物語。
この、あらゆる世界というのが、実にゴチャゴチャで、整理がつかないまま、エンディングを迎えてしまった、と言う観客が多かったようです。
監督が描きたかったのは、マルチバースの世界ではなく、現実世界だった、ここが落とし穴のように、物語を複雑にしてしまったようです。

アカデミー賞の理由は時代にマッチしたから?

昨今の問題として、移民、ジェンダーレス、LGBT、格差社会、家族などのテーマが詰め込まれています。
この複雑な問題を、マルチバースと言ったSF的な舞台から、現実社会に回帰させる事によって、主人公の進むべき道を提示した事が、高評価になったのでは無いでしょうか。
銃撃戦やカンフー・アクション、ロマンティックな夫(別次元の)との物語など、エンターテイメント性を出しながら、ソーセージの世界では、娘の気持ちを理解したり、夫の本当の姿を気付かされたり、過去の自分と対峙する姿は、人間エブリンをこれでもかと、描き切った演出にも好意が持てます。

これに気付いた人はいるかな?

これは、僕の得意の妄想かも知れませんが、見ている途中で、こう感じました。

マルチバースの世界は、エブリン自身が心の中に作り出した、妄想の世界では?

調べて見ると、やっぱり…

気になったので、色々と調べてみました。
すると、この映画の監督ダニエルズは、オンライン雑誌の「サロン」で、こんなことを言っていました。
「エブリンの初期設定では、ADHD(注意欠如、多動症)があり、その症状ゆえに、別の世界に入って行ける、と言うアイデアだった」
そして、ADHDを描くなら、それを軽く扱ってはいけないと思い、調べて行くうちに、ダニエルズ自身が医者からADHDだと診断されてしまったと言う、洒落にならないエピソードが語られています。
この記事を目にして、あながち妄想でもないと思いました。
それに、こんなシーンもありました。

テレビを食い入るようの見つめるエブリン

コインランドリーに置かれたテレビで、ラブストーリーが放映されていました。
その物語に、胸をときめかせながら、食い入るように見るエブリンは、まるでテレビの中に入り込んでしまったように見えるシーンです。
このシーンは、全く本編とは関係ないエピソードですが、実はこの作品を解く、重要なカギだったのではないでしょうか。
人生に行き詰まったエブリンは、あらゆる自分を想像し、なんとか人生を打開しよと考えた。
そのエブリンの心の葛藤が、マルチバースの世界として、観客に提示された、のではないでしょうか。
もちろん、これは僕の想像の世界です……。

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Posted by rockaria