映画『ボヘミアン・ラプソディ』 一体、自分とは何か?

2020年6月13日

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クィーンの名曲の裏には、アイデンティティの確立と言う戦いが秘められていた!

   こんな人にオススメ!

  • 70年代を知る洋楽ファン
  • クィーンと言うバンドを知らない人
  • 人生は生きづらい、とちょっと思っている

どんな映画?

1980年代、まだ未知の病気だったエイズに倒れた、ロック・バンド「クィーン」のヴォーカル、フレディ・マーキュリーの人生を赤裸々に描いた、2018年の大ヒット作。
全編を「クィーン」の曲が占めるのは当然だが、ドラムのロジャー・テイラー、ギタリストのブライアン・メイ、ベースのジョン・ディーコンを演じる役者たちは、物語が進むにつれて、本人にしか見えなくなって来る!
ただ、主役のフレディを演じたラミ・マレックは、頑張っているが、ファンから言わせると、顔はそれほど似ていない。
が、フレディの仕草(特に歌っている時)は完コピだった!

▶︎▶︎▶︎ 1970年初めのロンドン。スマイルというバンドの追っかけをやっていたファルーク(後に改名してフレディに)は、ヴォーカルが抜けたと聞くと、すぐに自分を売り込んだ。
彼の歌唱力に惹かれたブライアンと、ロジャーは、ベースのジョンを新たに加え、「クィーン」とバンド名を変える。
洋服屋の店員をしていたメアリーと恋に落ち、バンドとしては「キラー・ウィーン」という曲が大ヒット、アメリカ・ツアーをするなど大きく成長する。
「ボヘミアン・ラプソディ」と言う新曲をめぐってレコード会社の重役と対立、マスコミは酷評するが、ファンには認められて大ヒットする。
ところが、フレディには誰にも言えない悩みがあった。メアリーを愛していたが、自分はバイセクシュアルだと言う自覚があった。
生活は乱れ、やがてメンバーと対立し、フレディは酒とドラッグと男にのめり込み、やがて体だけでなく、精神も病んで来た……。

見所&解説

見所はズバリ、後半のライブ・エイドのシーン!

フレディの魂を救ったのは、他の人と結婚しが、生涯の友人となるメアリーの行動と、パーティー会場で知り合ったウェイター、ハットンの言葉だった。
彼はパーティーに明け暮れるフレディを見て、「本当の仲間を作れ」と言い、フレディがパートナーとして希望すると、「本当の自分を取り戻したら再会しよう」と去って行く。
メアリーの「バンドこそファミリー」と言う言葉に、忘れていた絆を思い出し、バンド・メンバーに心から謝罪する。
しかも、メンバーだけに、自分はエイズに感染したと告げるのだった。

知らなかった……。
僕がリアルタイムで見た、あの幻のコンサート「ライブ・エイド」での演奏の裏に、これほど凄まじいドラマがあったなんて。
それを知った上で見る、再現された「ライブ・エイド」は、我ら世代なら目に涙を浮かべてしまうのは必至だ。
ある意味、絵に描いたようなロックスターの物語だが、やっぱり「クィーン」となると別次元で見る事ができる。
当時は「性の解放」が盛んに叫ばれた時代だったが、潜伏期間が10年もあり、発症した時はすでに手遅れと言ったケースが殆どで、多くの人が犠牲になった。
当時は性的マイナリティ、LGBTと言う言葉はなかったように思うが、今年、「ベスト・ヒット・USA」でクィーン特集をした際、VJの小林克也氏が、「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞こそ、フレディがバイセクシュアルを告白した曲だと言う、衝撃的な解説をした。
「ママ、男を殺した」「ママ、人生は始まったばかり、なのに」「もう終わり、全ておしまいさ…」
今までゲイであることを隠していたフレディは、それを隠して生きる事は、自分も死んでいるのと同じだと歌詞に込めた。
だから「僕は死にたくない」と続いて行くのだ……。

人の思いは、そう簡単に、他人が理解できるもんじゃない。
この映画は、そんな事を僕に教えてくれる。

○○○+○ エキストラボール

● 自分が何者か? なんて悩む必要はない。 答えはすでに出ているのだ。
色んな映画、色んな本が答えを出している。
他人に何を言われても、自分らしく生きる事、そして自分らしいとは、どう言うことか考え抜けと。

● 映画の中では一言も触れていないが、「クィーン」の人気に火をつけたのは日本のファンなのだ。
それが世界に飛び火したんだと言うことを、はっきりと付け加えておこう。
「クィーン」もそれに答え、日本語で「手をとりあって」と歌ったのが何よりの証拠だ!

● ライブ・エイドのシーンで、「WE ♡ U2」と言うフラッグが見えたりして、ちょっと笑えるし、大活躍したフィル・コリンズがさっぱり出てこなかったのも面白い。


 

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ドラマ

Posted by rockaria