映画『カセットテープ・ダイアリーズ』音楽が人生を変えても、いいじゃないか!

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ブルース・スプリングスティーンのロックに乗せて、僕は明日へ走り出す…(キャッチフレーズ)

・ロック青春映画に興味がある
・もちろんブルース・スプリングスティーンのファン
・人が成長するドラマが見たい
・最後に泣きたい人

どんな映画?

英国ガーディアン紙のジャーナリスト、サルフラズ・マンズーリの回顧録「Greetings from Bury Park: Race, Religion and Rock N’ Roll(原題)」をベースに作られた2019年のイギリス映画。
パキスタン移民の一家で育った青年の、孤独と疎外感。
人生への不安を、B.スプリングスティーンの音楽に触れた事で一変した、実話ベースの作品。
「音楽を聴いて人生が変わる? そんな事あるわけない」そう考える人も、ぜひ見て欲しい。
移民、家族、仕事、恋人、希望と言った複雑なテーマを、ロックに乗せ描いた、複雑で繊細な作品だ。

▶︎▶︎▶︎ 1987年、英国に住むパキスタン一家の父は、移民と言うことを強く意識して、家族には厳しく接していた。
高校生で長男のジャベドは、そんな父や、ゴミ溜めのような小さな町から、いつか離れたいと悶々とした日々を過ごしていた。
そんなある日、クラスメートからブルース・スプリングスティーンのカセットテープを貸してもらう。
それを聴いた瞬間、ジャベドは人生に対する考え方が一変する。
このままの自分ではダメだ、そう思い、少しづつ生活を立て直し、変えて行こうとする。
だが、彼を取り巻く環境はあまりにも厳しかった……。

見所&解説

先に不満を言う

何故か、ボス(B.スプリングスティーン)の曲はBGM的な音量で、小さなストレスが残る。
歌詞に重心が置かれている? 或いは生活に音楽を溶け込ませようとしている?
個人的には、歌詞は(字幕じゃなくて)声によって運ばれるのだから、ボスの歌声をもっと前面に出して表現した方が、よりインパクトがあったんじゃないかと思っています。

3回は泣きました…

さて、本題に入りましょう。
僕はこの映画で、良い歳こいて、3回も涙を流してしまいました。(ほんと、涙もろくなってるわ)

一つ目は、ジャベドの父が、妻に髪の毛を染めてもらうシーン。
その妻に向かって、「こんな人生になるなんて……」と涙を流す。
もっと幸せな人生を送るはずだった、と後悔するこの場面に、少なからず、大黒柱を担っている人なら共感する人もいるはずだ。

二つ目は、テレビの中で、ボスがインタビューを受けているシーン。
本物のブルースが、一瞬テレビの中に登場する。
そして、「本当の英雄と言うのは……」と言う短い場面の中に、彼の考え方、優しさが溢れていた。
それを目の当たりにした時、人間に対する考え方に、感動してしまった。

三つ目は、ラストでジャベドがスピーチをするシーン。
家族を迎えて、学校の体育館(講堂?)でスピーチをする。
多くは言いませんが、家族に対する考え、自分の生い立ちなどを感動的に話します。

実はボスと呼ばれることに不満だった

僕は1970年代のロックに洗礼を受け、大きく影響された人間。
そんな70年代にも、ボスは「明日なき暴走」と言う大ヒットした名曲はあった。
80年代に入ると、そんな彼を(アメリカの)皆んなは「ボス」と呼んだ。
それに違和感を覚えたのだ。
70年代にロックを聴きまくった僕にしてみれば、なぜ彼が「ボス」と呼ばれるのか?
違和感と言うよりも、ちょっとした不満と言ってもいい。
この時僕は、ロックのボスが彼だ、と思い込んだからだ。
それが違うと分かったのが、あの有名な出来事だった。

「We Are The World」と言うエポックメイキング

全世界に衝撃と感動をもたらしたこの出来事を、知っている人も多いことでしょう。
有名なアーティストが出演し、超話題になりましたよね。
でも、当時は、そのアーティスト自身が、単なるアフリカへの支援金集め、キャンペーンソングぐらいにしか思っていなかった。
それを一変したのが、黒人女性が話す、アフリカ現地での悲惨なエピソードの数々だった。
このエピソードは、メイキング映像で、見たことがある人もいるでしょう。
それから、アーティストたちは歌に魂を込めて歌い上げた。
でも、僕が一番感動したのは、目が不自由なスティービー・ワンダーと、連日のコンサートで、一睡もしないで駆けつけたボスとの掛け合いだった。
この二人は、この曲の意味を最初から理解していたのだ。
だから二人は叫んだのだ! 「私たちは一つの世界」だと。
この時、二人に笑顔はない。

これを見た時、僕は涙が止まらなかった……。
彼の歌声に、ひれ伏してしまった……。
ブルースが、ボスと言われる事の意味を、知らされた瞬間だった。

ボスの曲に、「ハングリー・ハート」と言う曲ある。
僕のフェイバリット・ソングでもある。
だが、この曲を最初に聴いた時から、ある疑問を抱いている。
それは、どうしてもボスの声に聞こえない、と言う点だ。
何をどう調べても、この疑問を解決してくれる答えが見つからない。
誰か知っていたら、教えてちょうだいな。

作品インフォメーション

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ドラマ

Posted by rockaria