映画『湯殿山麓呪い村』設定と謎、そして雰囲気は良いんだけどなぁ…

2021年10月10日

どーも、ロッカリアです。
今日ご紹介する作品は、角川映画の逸品、と言っても良いんじゃないでしょうか。
本作を見たら、ぜひ、小説も読んでみて下さい。

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皆! 語るなかれ、聞くなかれ!(キャッチフレーズ)

・伝奇ミステリーが好き
・角川映画は気になる
・一度見たけど忘れた…
・オールドファンの人

どんな映画?

山村正夫の原作を、1984年に角川書店が映画化。
当時、角川書店のコマーシャル戦略は、まるで横溝正史を思わせるような宣伝だったが、内容は、全く違う現代劇になっている。
滝連太郎と言う、どこか聞き覚えのある大学講師が、謎に包まれた即身仏のミイラを発掘しようとするが、彼の周りで殺人が繰り返され……。
文字で起こすと、たしかに伝奇風ミステリーな感じだが、作品は、そこに人々の愛憎劇が重なり合っている。

▶︎▶︎▶︎  一切口外するなと言われた、幽海上人のミイラに関心を持っている滝(永島敏行)は、湯殿村出身の剛造にスポンサーになってくれと頼んでいた。
その矢先に、剛造は自宅の風呂場で殺され、その肩にミイラの手首が置かれていた。
滝は、テレビの制作会社に企画を持ち込み、スタッフと共に湯殿村に向かうが、そこでも殺人が起きてしまう……。

見所&解説

設定も良いし…

物語の導入も良い。
謎も伝奇的で良い。
ムードも言うことなし。
だが、この作品は、大きな問題点を抱えている。
作品を見ていて、誰にも感情移入が出来ないのだ。
観客が、その世界観に浸るには、主人公や、気になる人物と同じ感情を抱き、共感する事によって得られるはず。
なのに、この作品の登場人物たちは、あえてそれを拒否しているかのように、胸クソが悪くなるような(失礼)人物しかいない。

主人公も微妙…

主人公の滝は、自分勝手の不倫男で、目的のためなら手段を選ばない。
金持ち一家は利己主義の塊だし、捜査にあたる警察も大した活躍がない。
女性陣はどんどん落ちぶれて行くし、子供たちは子供たちで……。
これでは作品を楽しめない。

本家を見習え

金田一シリーズっぽいCM(予告編)だが、本家(金田一)の方は、登場人物、魅力あるキャラが物語を引っ張って行った。
もちろん、この作品にも、所々それらしい演出はある。
例えば、家族一同を応接間に集めて、警察が聞き込みをしたり、脅迫状と一緒にミイラ化した手首が入れられいたり、逃げる後ろ姿の虚無僧風の男がいたり……。
予告殺人や、お経のトリックなど、小道具も揃っている。
だが、犯人はいったい誰だ? と言う、ミステリーの根本的な部分に、あまりフォーカスが当てられていない気がする。
観客が、犯人に、あまり興味を持たない、あるいは、誰が犯人でも構わない、そんな気になってくるのは僕だけだろうか……。

この作品を楽しめるとしたら、昔の俳優さんの演技を見たり、若かりし頃の仙道敦子を見たりと、気合の入ったオールドファンだけかも知れませんね。

監督の池田 敏春氏は、日活ロマンポルノ畑出身。
この日活ロマンポルノと言うのは、アウトロー、つまりダメ人間にフォーカスした作品が多い。
個人的には、今作の登場人物にも、それが反映されていると思います。
それを念頭にこの作品を見れば、納得する部分もありますが、ミステリー作品として見た時には、ちょっと疑問が残ってしまいます。

(あくまで個人の意見です)

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ミステリー

Posted by rockaria