『マスカレード・ホテル』 予告殺人? 一体何のために? 犯人はバカなのか? 

グランドホテル形式のミステリーだが、スターにばかり目が行くと、肝心なことを見逃してしまうぞ!

   こんな人にオススメ!

  • スターの華々しい共演が見たい
  • ミステリー映画はチェックしたい
  • 東野圭吾の小説が好き
  • 人が殺されないミステリーも見てみたい

どんな映画?

高級ホテル「コルテシア東京」と言う架空のホテルを舞台に、みんなが知っている俳優たちがドンドン登場するミステリー映画。
2019年、今年公開された邦画で、『本能寺ホテル』の鈴木雅之が監督を勤めている。

▶︎▶︎▶︎ 3件の殺人現場に残された数字のメモから、同一犯の仕業と睨んだ警察は、そのメモから次の犯行が「ホテル・コルテシア東京」で行われると断定し、刑事たちを潜入させる事にした。
しかし、ホテルの客は怪しい人物ばかりが集まって、潜入したの刑事たち振り回され、捜査は難航してしまう……。

見所&解説 ちょっとネタバレ気味なので、未見の人は読まない方が良いかも

見所はズバリ、豪華俳優陣の共演とホテルマンのプロ魂。でも……。

記事のタイトルにも書きましたが、この物語の犯人はバカだ。
犯人がバカなら、警察も負けていない。
今日はその辺を突いて行こう。

まず、都内で起こった3件の殺人事件、その現場に、数字のメモがわざと残されていて、その暗号のようなもの解いたエリート刑事(キムタク)は、経度と緯度と断定、それぞれ3件の犯行現場を示しているとした。
その中に、次の犯行現場を示すメモがあり、その場所が高級ホテル「コルテシア東京」だった。

ええっ!?

犯人は捕まりたいのか? どうしてわざわざ「次はこの場所で人を殺しますよ」って言うんだ?
警察を欺く、そういった狙いもない。
そんな予告をして、犯人に何の得があると言うんだ?

警察も警察だ。
ホテルの従業員に紛れ込む必要がどこにある。
裏で待機するとか、客を装った方が、正体がバレる危険性が少くないはずだ。

原作を読んでいないが、もし原作通りだとすると、昔のような「予告殺人」を現代で展開するなら、もっと慎重に扱うべきじゃないだろうか。

アガサ・クリスティの傑作「予告殺人」をベースにしているなら、現代風にアレンジして時代に合ったものにして欲しかった。
また、盗む物をあらかじめ予告するルパンは、衆人環境の中、いかに彼が盗むのか、と言うことを読者は驚きと同時に楽しむのであって、その使い方ひとつで大きく印象が変わってくる。

犯人は何も告げず、ターゲットを違う場所で殺す方が、目的は簡単に達成できたはずだ。
この展開なら、最初から犯人はホテルの人間を殺す、と言っているようなものだ。
わざわざ客がホテルに泊まりに来る日時、部屋番号を事前に調べる手間に必要性がないからだ。
知的要素をくすぐるようなミステリーとは言い難く、映画的演出(どうしたら盛り上がるか)に走り、ミステリー・ファンを置き去りにしているとしか言えない。

ネタバレを言う。
長澤まさみがホテルのフロント係をしていて、「昔、こんなお客様がいました」と言って、キムタクに注意をするようなシーンがある。
その過去の出来事をモノクロ映像で回想して見せるが、客の顔を一切見せないで、カメラ・アングルの妙で最後まで隠している。
犯人はお前だ!

また、スターの共演を作品のウリにしていて、ポスターやチラシ、あるいは公式サイトに俳優たちの顔が載っている。
その中で、何故か、中々物語に出てこない俳優がいて、途中、「ん? 変装?」してる?(何せ、タイトルが仮面舞踏会だから)と思う俳優がいる。
犯人はお前だ!

百歩譲って、それらの細かい事象に目を瞑ったとしよう。
この映画がミステリーとして、個人的に頂けないのが、ミステリー映画としてのムード作りが感じられないところだ。

例えば、一度見たミステリー映画で、犯人もトリックも真相も全て熟知しているが、それでも何度も見たくなる作品がある。
個人的には、市川崑監督をして、石坂浩二が金田一耕助を演じた「横溝正史」シリーズがそうだ。
その世界観に包まれたい、金田一耕助に逢いたいなど、犯人探し以外に、作品としての魅力があるからだ。
ミステリーではないが、同監督の『本能寺ホテル』には、そう言った魅力があったのに、この作品に関しては、何度も見たい、と言う気持ちが薄い。

結論。
ミステリー小説の映画化は慎重になるべきだ。
何故なら、文字では気が付かないことも、画で見せられると、「ん?」と思うシーンが出てくる。特に変装シーンなどは、CGを使って全くの他人にならない限り、メイクには限界がある。
犯人はお前だ!

○○○+○ エキストラボール

● 小日向さんの演技がこの作品でも凄い。
良い人なのか悪い人なのか? 裏があるのか無いのか? 本当に刑事なのか? 実は犯人かも知れない……などなど、演出じゃなくて、演技でそれを表現できる俳優さんだ!
小日向さんが出る作品の多くは、その演技を見るだけでワクワクさせられる。
演技に職人技を感じてしまう、好きな俳優さんです。

● アガサ・クリスティのミステリー小説、「予告殺人」は傑作なので、読んでない人は老若男女にオススメです。
1950年に刊行されたミス・マープル物で、「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺人事件」などと肩を並べる傑作ミステリーです。
是非、ご一読を。

● ミステリー映画が好きなら、この映画はどうでしょう。オススメです。

 


 

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