映画『オールド』人生が一日で過ぎると、何が起こるのか?

2022年8月22日

どーも、ロッカリアです。
今日ご紹介する映画は、サスペンス・スリラーを得意とし、特異なシチュエーションを作り出す監督、M・ナイト・シャマランの作品です。
さて、今回は、どんなシチュエーションを考え出したのでしょうか。

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そのビーチでは、一生が一日で終わる(キャッチコピー)

・サスペンス系のスリラーが好き
・どんなシチュエーションか気になる
・歳を取るのが嫌、怖い、と少し思っている人

どんな映画?

リゾート・ホテルのプライベート・ビーチで起こる不思議な現象。
30分で一年の時が過ぎるビーチで、次々に死んでいく人たち。
子供から、急激に大人に成長してしまう娘・息子たち。
ありえないこの環境を作り出して、監督のナイト・シャマランは何を言いたかったのか?
ただのサスペンス・スリラーではないこの作品を、読み解いていきます。

▶︎▶︎▶︎ 夫のガイと妻のプリスカは、子供たち二人を連れて、南国のリゾート・ホテルにやって来た。
実は、妻のプリスカは、ガイとの離婚を考えていて、最後の家族旅行と決めていた。
他の家族も加わって、専用バスでホテルのプライベート・ビーチに着くと、次々に不思議な事が起こる。
気味が悪くなった人々は、歩いてビーチから出ようとするが、途中で意識を失い、どうしても出られない。
動揺する人々に、次から次へと、不思議な現象が襲いかかる……。

見所&解説

様々な伏線回収劇は、いつもながらのシャマラン監督の演出で、見所の一つ、と言うより名物、いや、お家芸の領域です。
さて、今回の作品も、絶対ありえない設定で、どんな理由を付けても、現実に起こるわけが無い話。
だって、そのビーチだけが、30分が一年に相当する、と言う、滅茶苦茶な設定だ。
そんな荒唐無稽な話なのに、物語が進んで行くと、とても怖く感じる。
精神不安定の男がいるから?
謎の男(有名ラッパー)がいるから?
人が次々に死んで行くから?
そこから脱出できないから?

いや、コレらの現象は、物語を盛り上げるための演出に過ぎない。
本当の怖さは別の所にあると思っています。
シャマラン監督は、この作品で一体何が言いたかったのか?
今日はネタバレ気味で解説して行くので、未見の人は、作品を見てから、また遊びに来て下さい。(ストーリーの根幹に関わる部分には触れません)

見所&解説〜ダークサイド(ネタバレ気味)

ヒューマン・ドラマとして見る

サスペンスであり、スリラーであるこの作品ですが、そこの怖さとは別の恐怖が、潜んでいます。

親にとって、子供たちが成長して行く姿を見守るのは、嬉しい事、でもちょっぴり寂しくもありますね。
そんな小さな子供たちが、数時間でどんどん成長して行き、すぐに大人になってしまったら?
親にとって、そんな残酷な事はないのでは?
子供たちも勿論、親も途方に暮れてしまいます。
シャマラン監督は、それを映像で、現実に起こさせます。
こう言う人もいるでしょう。
「大丈夫! コレはただの映画だよ」

本当にそう言い切れますか?
子供の成長期に、やれ仕事が忙しい、友人付き合いが大変だ、接待もあるし、自分の時間だって大切なんだ……。
色んな理由で、子供達と過ごす時間が削られていませんか?
僕の子供たちは、既に家庭を持っていますが、楽しい思い出と言えば、やっぱり子供の頃に一緒に過ごした時間です。
子供たちが成人して、どんなに立派な大人になっても、親はあの頃を思い出し、もっと沢山、一緒に時間を過ごしていればと、歳を取ってもそう思うものです。
シャマラン監督は、そんな事を描きたかったんじゃ無いでしょうか。、

もう一つ。
今、人生が、あっという間に過ぎて行ったら、あなたはどう感じるでしょうか?
意外に多くの人が、あの時こうすれば良かった、あれもコレもしておけば良かった、と後悔することが、大なり小なりあるんじゃ無いでしょうか。(僕はあります…)
この映画の主人公の妻プリスカは、他の男性と付き合っていて、離婚を決心し、この家族旅行を決めました。
実は夫のガイもそれを知っていて、プリスカにこんな事を言います。
「僕が女だったら、あんな男を好きならない、嫉妬じゃないよ」
ガイは、妻のことを思って、離婚も仕方がないと思っていました。
でも時は容赦なく過ぎていきます。
その時、プリスカはしみじみと、ある事を感じます。
私のために、一番尽くしてくれたのは、夫のガイじゃなかったのかと。
一番私のことを思っているのは夫じゃなかったのかと。

淡々と、夜の浜辺で語り合う二人は、死が迫って来た時に、本当に大切な人は誰か、苦楽を共に歩んで来た夫であり、妻であることを悟ります。
もちろん、さまざまな事情があって、離婚しかない道だってあるでしょう。
でも、そこで、もう一度やり直せるチャンスがあるなら、じっくりと話し合ってみるのも、大切なことだと感じました。(ただし、相手が話のわかる人じゃないと、これは成立しませんけどね)
そして二人は、そこで寄り添い、人生を終わらせて行きます。
サスペンス・スリラーなのに、僕はそれ以外の所では、随分泣かされました。(いつもの事だけど…)

※子宝に恵まれない夫婦や、悲しい思い出を抱えている人を、決して否定しているのではありません。
これはあくまで、僕個人の人生においての話です。
実際、長男夫婦は……。

浜辺に集められた家族は、誰一人、時間が異常に進むビーチから逃げる事が出来ません。
これって、よく考えると、人生と一緒じゃないかって、思ってしまいました。
人生から抜け出す方法なんて、「死」以外に無いのじゃないか……?
でも、ガイとプリスカの子供たちは諦めませんでした。
そんな状況下でも、絶体絶命の時でも、何か脱出のヒントがあるはずだと、決して諦めませんでした。
そしてついに……。

この映画のように、一瞬で歳を取るなんて考えられまえんが、人間は生きていれば必ず歳をとります。
僕は、歳を取るのが怖いとか、悲しいとか考えた事はありません。(考えないようにしている、が正解かも)
一番怖いのは、何もしないで歳を取る事だと思っています。
「何かをするのに、歳なんて関係ないよ」と言ったのは、映画『ゼロの未来』のボブでした。

ナイト・シャマラン監督は、この美しくも残酷な浜辺で、人生の縮図を見せたかったのではないか?
だからタイトルは『OLD』、にしたのでは……。

さて、僕はこの映画を、サスペンス・スリラーと別の形で捉えましたが、一般的には評価も二分されているようです。
映画をどう見るか、なんて、いつも言っているように人それぞれです。
あなたは、この映画をどう見ましたか?
また、未見の人で、ここまで読んでしまった人は、自分の目で、この映画がどのように映るか、確かめて下さいね。

あくまで個人意見です

アルフレッド・ヒッチコック監督が自分の作品に、いつもカメオ出演していたように、このシャマラン監督も、本作に出ています。(いつものように)
お客をビーチに運んだ運転手がそうですが、今回は、もうちょっと役が増えていましたね。
このように、自作にちょこっとだけ出る監督は結構いますが、この究極が、クリント・イーストウッドだと僕は思っています(笑)
え? 彼はカメオ出演じゃないだろって?
もちろん、それはそうなんですが……。

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サスペンス

Posted by rockaria