映画『殺しのドレス』 ヒッチコックへの愛が怖い!
男を悩ますような服装、それが「殺しのドレス」の意味
こんな人にオススメ!
- サイコ・サスペンスが見たい
- 最後の最後にビックリしたい
- ヒッチコックの映画が好き
どんな映画?
ヒッチコック・フォロワーの中で、この映画を監督したブライアン・デ・パルマほど、彼への愛情を抱いている監督はいないだろう。
デ・パルマが監督した作品には、本人が意識しようがしまいが、必ずヒッチコックのテイストが見え隠れしている。
中でも、真正面からヒッチコック・タッチを多用したこの作品は、彼へのオマージュが炸裂している。
▶︎▶︎▶︎ 夫はいるが、性的欲求が満たされないケイト(アンジー・ディッキンソン)は、精神科医のエリオット(マイケル・ケイン)にカウンセラーを受けていた。
だが、美術館で男を誘惑し、男のアパートで情事を楽しんだ後、帰りのエレベーターの中で結婚指輪を忘れたのを思い出し、取りに戻ろうとした時、乗ってきた女に突然襲われ殺されてしまう。
そのエレベーターを、男と一緒に待っていたリズ(ナンシー・アレン『ロボコップ』の婦人警官)は、扉が開いた時に落ちたカミソリを拾うと、見ていたメイドに犯人と間違われてしまう。
警察で事情説明するが、娼婦であることがバレてしまい、一緒にいた男を48時間以内に連れて来ないと逮捕すると脅され、殺されたケイトの息子ピーター(キース・ゴードン『クリスティーン』の主役)と共に、犯人を探すことにするが、犯人も、目撃者であるリズの命を狙っていた……。
見所&解説 (ちょっとネタバレ気味。見ようかなと思っている人は、以下、読まない方がいいかも)
『サイコ』のシャワー・シーンを彷彿するオープニングから始まるこの物語、アンジーの物語と、ナンシー・アレンの物語が全く関係ないないと言う、『サイコ』そっくりに作られている。
つまり、最初から見ていると、欲求不満の妻が男を漁る物語と思えるが、エレベーターのシーンからガラッと変わってしまうのだ。
『サイコ』も本作も初めて見る人は、かなり面食らうだろう。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)みたいな作り方、と言えば、多少理解できる年代が広がるか……。
アンジーのシャワー・シーンだけじゃなく、デ・パルマ監督はサービス精神からか、あるいは自分が見たかったのか、ナンシー・アレンのシャワー・シーンまで撮っていて、これには男子諸君は大喜びだ。(不謹慎なヤツ…)
エレベーターでカミソリを拾い、犯人に間違えられるシーンは、まんま『北北西に進路を取れ』で、アンジーが美術館のベンチに座り、絵画を見ているシーンは『めまい』(アンジーの髪色はもちろんブロンドだ)
ナンシーの部屋を双眼鏡で覗くシーンは『裏窓』と、キリがないほどヒッチコックへのオマージュにあふれている。(犯人の設定も、言えないが、「アレ」だ)
細かいシーンを切り取って、ピースをはめ込んで行くと、完成するジグソーパズルは、間違いなくヒッチコックの肖像画になる、途中まで見ていると、そんな感じがする。
だが、ブライアン・デ・パルマが凄いのは、ヒッチコック・テイストをこれだけ入れても、完成した作品は、デ・パルマのテイストに仕上がっているところだ。
特筆するシーンがある。
『サイコ』のシャワーシーンで、襲われ、殺されるシーンは、バーナード・ハーマンの音楽的効果もあり有名だが、デ・パルマ監督は、そのシーンをエレベーターで再現して見せた。
そのシーンに、ナンシーもあわや襲われるかもしれない、その緊張感は、呼吸を忘れるぐらいの名シーンだ。
ヒッチコックの影響を受けた彼が、この演出によって、後世の監督たちに与えたインパクトは、計り知れない。
未見の人には、必見の映画だと言えます。(※ ただ、ストーリーには矛盾点、ツッコミ所も見られます……)
ヒッチ先生の【談話室】
このブライン・デ・パルマと言う監督、ただのモノマネで作品を作ってないで
ええっと……
作る側が苦労せんと、面白い映画ができるわけないやん!
話がそれるが、監督の中にも、わしの作品に対してケチつける人間、褒める人間がおるで。
『めまい』ってあるやろ、アレは特に賛否両論があって、デビッド・フィンチャーは最高傑作と言い、マーチン・スコセッシは話の筋がよう分からん、と言いよった
どう言うことですか?
話聞いたら、『めまい』の見方が180度変わるで
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