映画『殺しのドレス』 ヒッチコックへの愛が怖い!

2020年6月13日

男を悩ますような服装、それが「殺しのドレス」の意味

   こんな人にオススメ!

  • サイコ・サスペンスが見たい
  • 最後の最後にビックリしたい
  • ヒッチコックの映画が好き

どんな映画?

ヒッチコック・フォロワーの中で、この映画を監督したブライアン・デ・パルマほど、彼への愛情を抱いている監督はいないだろう。
デ・パルマが監督した作品には、本人が意識しようがしまいが、必ずヒッチコックのテイストが見え隠れしている。
中でも、真正面からヒッチコック・タッチを多用したこの作品は、彼へのオマージュが炸裂している。

▶︎▶︎▶︎ 夫はいるが、性的欲求が満たされないケイト(アンジー・ディッキンソン)は、精神科医のエリオット(マイケル・ケイン)にカウンセラーを受けていた。
だが、美術館で男を誘惑し、男のアパートで情事を楽しんだ後、帰りのエレベーターの中で結婚指輪を忘れたのを思い出し、取りに戻ろうとした時、乗ってきた女に突然襲われ殺されてしまう。
そのエレベーターを、男と一緒に待っていたリズ(ナンシー・アレン『ロボコップ』の婦人警官)は、扉が開いた時に落ちたカミソリを拾うと、見ていたメイドに犯人と間違われてしまう。
警察で事情説明するが、娼婦であることがバレてしまい、一緒にいた男を48時間以内に連れて来ないと逮捕すると脅され、殺されたケイトの息子ピーター(キース・ゴードン『クリスティーン』の主役)と共に、犯人を探すことにするが、犯人も、目撃者であるリズの命を狙っていた……。

見所&解説 (ちょっとネタバレ気味。見ようかなと思っている人は、以下、読まない方がいいかも)

『サイコ』のシャワー・シーンを彷彿するオープニングから始まるこの物語、アンジーの物語と、ナンシー・アレンの物語が全く関係ないないと言う、『サイコ』そっくりに作られている。
つまり、最初から見ていると、欲求不満の妻が男を漁る物語と思えるが、エレベーターのシーンからガラッと変わってしまうのだ。
『サイコ』も本作も初めて見る人は、かなり面食らうだろう。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(1996)みたいな作り方、と言えば、多少理解できる年代が広がるか……。

アンジーのシャワー・シーンだけじゃなく、デ・パルマ監督はサービス精神からか、あるいは自分が見たかったのか、ナンシー・アレンのシャワー・シーンまで撮っていて、これには男子諸君は大喜びだ。(不謹慎なヤツ…)

エレベーターでカミソリを拾い、犯人に間違えられるシーンは、まんま『北北西に進路を取れ』で、アンジーが美術館のベンチに座り、絵画を見ているシーンは『めまい』(アンジーの髪色はもちろんブロンドだ)
ナンシーの部屋を双眼鏡で覗くシーンは『裏窓』と、キリがないほどヒッチコックへのオマージュにあふれている。(犯人の設定も、言えないが、「アレ」だ)

細かいシーンを切り取って、ピースをはめ込んで行くと、完成するジグソーパズルは、間違いなくヒッチコックの肖像画になる、途中まで見ていると、そんな感じがする。

だが、ブライアン・デ・パルマが凄いのは、ヒッチコック・テイストをこれだけ入れても、完成した作品は、デ・パルマのテイストに仕上がっているところだ。

特筆するシーンがある。
『サイコ』のシャワーシーンで、襲われ、殺されるシーンは、バーナード・ハーマンの音楽的効果もあり有名だが、デ・パルマ監督は、そのシーンをエレベーターで再現して見せた。
そのシーンに、ナンシーもあわや襲われるかもしれない、その緊張感は、呼吸を忘れるぐらいの名シーンだ。

ヒッチコックの影響を受けた彼が、この演出によって、後世の監督たちに与えたインパクトは、計り知れない。
未見の人には、必見の映画だと言えます。(※ ただ、ストーリーには矛盾点、ツッコミ所も見られます……)

ヒッチ先生の【談話室】

ロッカリア

ロッカリア

それにしても、ヒッチ先生が映画界に与えた影響はすごいですね
ヒッチ先生

ヒッチ先生

やろ。
このブライン・デ・パルマと言う監督、ただのモノマネで作品を作ってないで
ロッカリア

ロッカリア

と言うと?
ヒッチ先生

ヒッチ先生

わしが作品作りで一番こだわったこと、何か分かるか?
ロッカリア

ロッカリア

観客を一番に考えること、でしたっけ?
ヒッチ先生

ヒッチ先生

つまり?
ロッカリア

ロッカリア

つまり?
ええっと……
ヒッチ先生

ヒッチ先生

全ては、スクリーンにどう映るかが大事なんや
ロッカリア

ロッカリア

なるほど。
ヒッチ先生

ヒッチ先生

そのためなら、スタッフだけやなしに、俳優たちにも無理難題を押し付けるで。
作る側が苦労せんと、面白い映画ができるわけないやん!
ロッカリア

ロッカリア

確かにヒッチ先生は、俳優ウケが悪かったですものね
ヒッチ先生

ヒッチ先生

ほっとけ。
話がそれるが、監督の中にも、わしの作品に対してケチつける人間、褒める人間がおるで。
『めまい』ってあるやろ、アレは特に賛否両論があって、デビッド・フィンチャーは最高傑作と言い、マーチン・スコセッシは話の筋がよう分からん、と言いよった
ロッカリア

ロッカリア

先生、実は僕も『めまい』はちょっと、いつものヒッチ先生のテイストじゃ無いような気がしていたんですが……
ヒッチ先生

ヒッチ先生

あの映画が賛否両論を呼んだ現象こそ、わしの思う通りやった、と言ったらどうする?
ロッカリア

ロッカリア

えっ?
どう言うことですか?
ヒッチ先生

ヒッチ先生

これ、話出したら長なるから、特別枠を設けて説明したるわ。
話聞いたら、『めまい』の見方が180度変わるで
ロッカリア

ロッカリア

じゃ、すぐにでも特別枠で、『めまい』の真実を話してくださいよ

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