映画『ミスター・ガラス』 シャマラン監督の本当の狙いとは?
アメリカン・コミックの実写化を、マーベル、DCと違った方法で観客に見せるシャマラン監督のお家芸三部作、ここに完結か!?
こんな人にオススメ!
- 『アンブレイカブル』『スプリット』を見た人
- マーベル、DCコミックとは別次元のアメコミ・ヒーローが見たい
- ナイト・シャマラン監督、久々の伏線回収作品が見たい
どんな映画?
2000年に公開された『アンブレイカブル』、2016年の『スプリット』、そしてこの『ミスター・ガラス』で三部作と言われ、アメコミはヒーローと悪役の戦いを描いた歴史書と語り、ヒーロー(悪役)にリアリティを持たせようとした作品。
だが、監督シャマランの狙いは、もっと現実的で根深いものがあったようだ。
▶︎▶︎▶︎ チアリーディングの女の子4人を、廃工場で監禁している多重人格者のケビン(ジェームズ・マカヴォイ)は、そこに監視人のデヴィッド(ブルース・ウィリス)が現れると、ケビンは最強の人格者ビーストになり、二人は死闘を繰り広げる。
そこに、一瞬警察かと思う連中が来て、二人は精神病院に入れられてしまう。
そこにはミスター・ガラスことイライジャも収監されていたが、廃人のような姿になっていた。
女医のエリーは、ヒーロー幻想に取り憑かれた3人を、普通の人間に戻そうと対話を重ねるが、実はその裏で、とんでもない策略を秘めていた……。
見所&解説
見所はズバリ、正義と悪のヒーロー対決……
三部作を最初から考えていた、と言うなら、クローバーの刺青をした謎の組織の存在を、シャマラン監督なら『アンブレイカブル』の時点で伏線を張っていたはずだ。
『アンブレイカブル』のイーストレイル117号の事故の引用も、同じ精神病院に3人が集められた事も、取って付けたような設定が気になる。
実はこの作品を作るきっかけが、多くの人が指摘するように、アメリカン・コミックスの規制に乗り出した、Comics Code Authority、通称CCAに対するシャマランの、批判に注目する人がアメリカでは多かったようだ。
セックスや暴力や犯罪に血などの描写が、青少年に悪影響を与えると規制を強化し、作家は、本当に描きたいものが描けず、勧善懲悪のヒーローものしか作れない、そんな時代になりつつあるようだ。
『アンブレイカブル』で、コミックを題材に取り上げたシャマランが、これを見逃すはずがない。
この作品の中に登場する女医のエリーには、コミックを批判するモデルがいるようで、映画の中でも彼女は、結構どぎつい発言をしているのは、そう言うことなのだ。
単純に、フィラデルフィアで一番高い大阪タワーで、大勢の観衆を前にして、デヴィッドとビーストの闘いを見たかった、そう思うのは僕だけじゃあるまい。
この作品のラストを見ると、続編が出来るのではないかと思えるが、監督自身はその可能性を否定しています。
ひとまずは、この三部作で完結、と言う事なんだろう、か?
○○○+○ エキストラボール
● 24人の人格を持つ多重人格者と聞いて、実在の人物ビリー・ミリガンを思い浮かべた人も多いでしょう。
そのビリー・ミリガンが持つ人格者の中に、ケビンと言う人格者がいるのも、おそらくシャマラン監督の確信犯的所業だろうなぁ。
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