映画『病院坂の首縊りの家』シリーズ最後は、生首風鈴事件!そして『犬神家の一族』へ

ロッカリア
どーも、ロッカリアです。
東宝の金田一耕助シリーズの5作目で、この映画(原作も)をもって、金田一はアメリカへと旅立って行きました。
金田一耕助最後の事件を紹介します

映画『病院坂の首縊りの家』予告編

これで見納め、のはずだった…が。

   こんな人にオススメ!

  • 金田一耕助、横溝正史のファン
  • 昭和が舞台のミステリーが好き
  • ミステリー映画は外せない
  • シリーズをずっと観ている

どんな映画?

監督・市川崑、原作・横溝正史、主演・石坂浩二のトリオによる、金田一シリーズ5作目にして最後の作品。
制作は1979年だが、舞台となる戦後間もない時代背景のムード作りは、シリーズ中、最も再現性があり没入できる。
また、原作が文庫本で上下2冊になっている通り、人間関係の複雑さはシリーズ随一。
単純に犯人探しを楽しむミステリーではない事を、見る前に心得よう。

▶︎▶︎︎▶︎ 渡米するために、パスポートの写真を撮ろうと、本條写真館を訪れた金田一耕助。
ところがそこで、主人の徳兵衛から調査を依頼される。
誰かに命を狙われている、と言うのだ。
同じ日の夜、写真館に若い女性(桜田淳子)が訪れる。
結婚写真を撮って欲しいと、日時と場所を告げると逃げるように去って行った。
徳兵衛の息子、直吉と、その弟子(草刈正雄)が訪れたのは、病院坂にある廃墟の屋敷だった。
花婿(あおい輝彦)の横に座る花嫁は、写真館に来た女性だったが、目は虚で全く雰囲気が違っていた。
後日、写真が出来上がる日に、再び屋敷を訪れた直吉たちは、そこで風鈴のように吊り下げられている生首を見つける。
それは、先日撮影した花婿の無惨な姿だった……。

見所&解説

ミステリー映画の解説は慎重に

シリーズの最後、と言う事もあって、オープニングとエンディングに、横溝正史本人が、長目に出演しています。
中でも、セルフパロディ、とまでは行かなくても、前作『女王蜂』でヒロインを務めた、中井貴恵が登場、横溝本人に面と向かって、おじさま(横溝)の小説の中に、金田一さんみたいな探偵さんが、出ていたわね? と言うと、石坂浩二と横溝の二人は、ちょっと困った顔をするのが面白い。

また、本作には珍しく、金田一の助手的な役割を、草刈正雄が演じ、本格的に、探偵助手として演出しているように見える。
この起用が、陰惨な事件にあって、観客の気持ちを和ませる事に貢献している。

また、当時、アイドルとして絶大な人気のあった、桜田淳子が出演しているのも見所の一つ。
難しい役も積極的にこなし、この作品に花を添えています。
謎解きを優先して見る今までのシリーズと違って、物語に身を任せて鑑賞する事をオススメします。

 

星4

見所&解説〜ダークサイド

ここからは、ネタバレを含む解説なので、未見の人は読まないで下さいね。

らしくない…

個人的には、全シリーズ中、一番の問題作だと考えています。

まず、この作品に限って、特徴的な、いわゆる市川崑のタイポグラフィーで、タイトルバックが始まらないことに、違和感を覚えます。
また、法眼弥生(佐久間良子)の亭主で、法眼琢也が物語の途中で登場するのも、ミステリーの定義からズレているように思う。(琢也の存在が、今回の一連の事件の要因と言えるからだ)

更に、ラスト近く、弥生の母が死んだと告げられた時、全員が2階に上がったが、金田一は「弥生さんの姿が見えませんねぇ……」と冷静に言う。
これは、今まで見てきたシリーズの金田一を知っている人なら、不思議に思う人もいるんじゃないだろうか。
本来なら、「しまった!」と言って、真っ先にその場を飛び出して行くはずだ。
何故なら、金田一は、たとえ犯人だろうと、人の命を何よりも大切に考えているからだ。
全てのシリーズにおいて、犯人は自殺(『女王蜂』だけは事情が少し違うけど)しているので、さも当たり前のように弥生に接するのには、違和感を覚える。(心情はわかるけど…)

そこである考えが浮かぶ

実はこの作品、出来上がりを見た市川崑監督も、納得していなかったんじゃないだろうか?
それが、2006年に『犬神家の一族』をセルフリメイクした理由ではなかったのか。
この時、リメイクを制作するにあたり、市川崑監督の「今ならもう少し上手く作れるかも知れない」と言う記事を読んだ。
この、「今ならもう少し上手く作れるかも知れない」と言う言葉は、『犬神家』に対してじゃなく、この『病院坂』のことを言っているんじゃないだろうか。
だって、『犬神家』は今見ても、傑作ミステリーではないか。
確かに出来上がったリメイク版『犬神家』は、細かい演出も取り入れられ、ばっさりカットした部分もあった。
だからと言って、最初の『犬神家』のインパクトを凌駕したとは言い難い。
では何故リメイクしたのか?
それには、ある目的があったから、だと思う。
『病院坂』は、エンディングにしても、金田一耕助の最後にしては、物足りなかった。
言い換えると、相応しくなかった。
しかし、『病院坂』のプロットは、横溝作品の中でも最上位に位置するほど複雑だ。
リメイクするには、難しいと考えても不思議ではない。
楽しめる作品としては、単純な『犬神家』をチョイスし、らしい金田一耕助を描き、この作品を持って、さよならを正式に告げたかったのではないだろうか。
あのエンディングは、まさにそんな感じがしたのですが、それはきっと僕だけじゃないでしょう。
(※もちろん、全ては僕の妄想です)

無限ループへようこそ

そして、2006年版の『犬神家』を見た僕は、最初の『犬神家』と比べたくなって再見、その世界に引きずり込まれると、次に『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』を見て、『病院坂の首縊りの家』にたどり着くと言う、無限ループに陥ってしまう。
ま、これは、おそらく映画狂あるある、かも知れませんがね……。

作品インフォメーション

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病院坂の首縊りの家

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