『ボギー! 俺も男だ』 映画ファンは妄想がお好き!?

2019年9月2日

恋に悩めるウディに、『カサブランカ』のH.ボガートが恋愛指南! でも真に受けちゃダメだ! とんでも無いことになる!

  こんな人にオススメ!

  • ドタバタ・コメディが好き
  • 名作『カサブランカ』を知る映画ファン
  • ウディ・アレンを見てもイライラしない
  • オープニングとエンディングがシンクロする映画が好き

どんな映画?

後に『フットルース』『摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に』と言うヒット作を生んだハーバート・ロスが1972年に監督した作品。だが、脚本とプロデュースと主演をこなしたウディ・アレン色が強く反映され、後に彼の作品のスタイルを決めたと言えるエポックメイキングな作品。

《物語》▶︎▶︎▶︎『カサブランカ』のリバイバルを劇場で見ていた離婚ホヤホヤの映画評論家アラン(ウディ・アレン)。新しい恋をしたいアランは、友人夫婦の協力で女性を紹介してもらうが、ことごとく失敗。『カサブランカ』の大ファンだったアランの前に、その主人公ボギーが姿を現し、彼に時代錯誤の恋愛論を教える。アランは、専属のセラピストの休暇を恨んでいると、アランを心配する友人の妻リンダ(ダイアン・キートン)といいムードになり、ベッド・インした事から、話はややこしい展開になって行く……。

【作品中ウディ・アレンは、こんなボギーの姿になることはありませんでした】

見所&解説

見所はズバリ、妄想ボギーとウディの漫才のような会話!

名作『カサブランカ』をモチーフにしていると言っても、いきなりラストシーンを全部見せてしまうと言う、前代未聞のオープニングに驚かされる。

まるでウディが、この映画を知らない人はいないだろう、見ていて当然だ、と言わんばかりの、映画マニアの一面を主張したプロローグだ。

笑えるのが、アランが妄想して登場させるハンフリー・ボガート。似ているといえば似ているが、そっくりでもなく、微妙な感じが返っておもしろい。『カサブランカ』にオマージュを捧げているのか、おちょくっているのかよく分からん始末。しかもこの妄想ボギーは、現代ならDVだと訴えられる事必至の発言連発で、ジュリーのヒット曲、「カサブランカ・ダンディ」の一節を思い出した。♬ボ〜ギィ〜、ボ〜ギィ〜、あんたの時代は良かった〜♬

ただ、ラストシーンを見れば、ウディが何を作りたかったのか一目瞭然で、彼の映画への愛が強く感じられるようになっています。

さて、僕は最初にこの作品を見た時から、ずいぶん長い間ウディ・アレンの監督作だと思い込んでいました。理由は『アニー・ホール』『マンハッタン』等々の作品を先に見て、彼の作家スタイルが脳に定着していたからで、監督がハーバート・ロスと知って意外でした。どこをどう切ってもウディ印の作品に仕上がっていて、彼の住む、映画評論家の部屋のディテールの作り込みや、ファッション、アイビーの定番にウェリントンのアイウェア、ジャズのレコードに映画のポスターと、まるでヒッチコック並みの、小物に対する執着心が、すでにこの作品から読み取れるからだ。いくら脚本を彼が書いたとは言え、ハーバート・ロスの社会性を重視した作風とはアプローチが大きく異なっている。

ぶっちゃけ、『アニー・ホール』で大変身を遂げ、アカデミー賞を受賞する以前のウディの作品は、ナンセンス・コメディ(しかも超が付くぐらい)ばかりだったが、この作品を手がけたことにより、自分が目指すスタイルに目覚めたと考えて間違い無いでしょう。

彼の作品の特徴は、細部にこだわった、時代の「空気感表現」だと思っています。『ラジオ・デイズ』や『ミッドナイト・イン・パリ』をわざわざ引っ張り出してくる必要もないでしょう。

で、他人事のように妄想妄想と言ってきましたが、映画ファンって、結構妄想が好きな人種、と言えるんじゃ無いでしょうか?

『ノッティングヒルの恋人』を見ては、いつかこんな出会いが来るかも知れないとか、『2012』『デイ・アフター・トゥモロー』のような、或いは『ディープ・インパクト』の様な災害にあったらどうしよう。海水浴で『ジョーズ』に出会ったら……。

切りがありません。映画を見無い人よりも、映画ファンは、はるかに多くの妄想を抱いてしまうと思うんです。言い換えれば、それが映画ファンの特権じゃないでしょうか。

どうせなら、怖い妄想よりも、恋愛映画などのロマンティックな妄想の方が絶対いい!

この記事を読んでくださった人で、「ん〜、そう言えば俺にも妄想癖があるな〜」と感じたら、あなたも立派な映画ファンです。すぐに優秀なセラピーを見つけましょう。

○○○+○エキストラボール(つまりオマケ)

実はこの映画、1969年にブロードウェイの舞台劇として上演され、脚本と主演のウディに加え、ダイアン・キートンも出演。映画版でハンフリー・ボガートの幻を演じたジェリー・レイシーと言う俳優も、この舞台出身。

原題の「Play it again,sam」は、『カサブランカ』の劇中、イングリット・バーグマンが黒人のピアニストに言った「Play it,Sam. Play “As Time Goes By"と言うセリフから取られています。

舞台となったのはロスアンゼルス、ニューヨークとは明らかに違う空気感が作品にも漂っています。

 

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