映画『ゼイラム』ハードボイルドで美しいヒロインはお好き?
本日は、日本特撮映画史に刻まれた、間違いない傑作をご紹介!
「あらゼイラムさん、ようこそと申し上げますわ」
こんな人にオススメ!
- アイデア満載の日本SF映画が見たい
- 生物兵器VSヒロインの戦いが好き
- イリヤのセリフとカッコ良さにしびれたい
どんな映画?
みなさんは雨宮慶太という監督さんをご存知でしょうか?
ゲーム会社のナムコのスポンサーを受けて作ったビデオ映画『未来忍者:慶雲機忍外伝』で、それまでの時代劇とは一線を画し、サイボーグ忍者が活躍する、パラレルワールド時代劇としてとても評判になった監督さんです。その雨宮慶太監督が1991年に作った、海外でも評判になった日本SF映画が本作です。
劇中に登場する様々なギミックも楽しいが、不死身のゼイラムに挑む美しきヒロインと、偶然巻き込まれてしまった二人の電気屋の活躍が、作品にスパイスを与えています。
▶︎▶︎▶︎ 凶悪な生物兵器ゼイラムを、地球で確保しようと、賞金稼ぎのイリヤ(森山祐子)は、街の一画をそのまま再現した、無人の「ゾーン」を作り、そこへゼイラムを誘導する。
だが運悪く、電気屋の二人、神谷(蛍雪次郎)と鉄平(井田 國彦)が、その「ゾーン」に紛れ込んでしまう。
事情が飲み込めない二人に、ゼイラム は容赦なく襲いかかってくる。
地球人を巻き込んでしまったイリヤは、二人を守りながら、ゼイラムを捕獲しようとするが、「ゾーン」には時間制限があり、イリヤを残したまま崩壊が始まっていく……。
見所&解説
まず最初に、残念な所をちょっとだけ言わせてもらうと、この作品が作られた1991年当時、『ジュラシック・パーク』(1993)でコンピューター・グラフィックスが革命を起こす以前の産物、と言う点だ。
C.Gの概念が、まだ高い位置に存在していないため、C.G使用は相棒のボブに絞られ、「ゾーン」崩壊のシーンのほとんどがオプチカル合成で作られた。雰囲気はあるものの、リアル感と言う点では時代を感じさせてしまう。
だが、作品としての位置は、今日見ても全く古く感じさせないし、日本映画史においても、特異な傑作だと言う事は間違いありません。
さっそく、見所を絞って話を進めましょう。
見所1 ヒロイン、イリヤの魅力
バウンティハンター(賞金稼ぎ)と言う設定上、超クールなヒロインのセリフがたまらない。
その台詞回しはハードボイルドそのもので、これをSF映画に持ってきたセンスが抜群だ。
劇中で神谷が、「いい女だなぁ」と言うセリフを二度繰り返すが、その言葉通り、魅力的なヒロイン像がここにあります。
見所2 ハリウッド映画へのオマージュも
『ターミネーター』のように不死身のゼイラムだが、後半のメタモルフォーゼは、『エイリアン』や『遊星からの物体X』のようにエグい!
明らかに意識している事が、それぞれのシーンでわかります。
さらに、神谷が活躍する後半のシーンでは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』さながらのシーンが見られます。(ドクが時計塔で活躍するシーンね)
見所3 「ゾーン」と言うバトルフィールド
街の一角を再現し、誰もいない空間で戦うと言うアイデアがいい。
この発想はもう、ゲーム感覚に近いものだ。
人が存在しない、と言うだけで、日常空間が、異世界感に溢れる。
これはトム・クルーズ主演の『バニラ・スカイ』で見せた、あのマンハッタンを思い起こせば分かるだろうか。(あそこまで壮大ではないが…)
人が住む実際の空間じゃなく、誰もいない空間での戦いの方が、エンターテイメント性とリアル感を生み出している。
見所4 数々のギミック
携帯銃や大型の電子銃、バズーカ砲、時限爆弾にゼイラム捕獲用のトラップ、それに加えて、イリヤの相棒ボブ。
とにかく細部までアイデアを絞り、作り込まれた細かい演出にワクワクさせられる。
見所5 凸凹コンビ
電気屋と言う設定が、ラストで生きてくるのもいいし、神谷と鉄平の会話、ダイアローグも相当練られている。
緊張感の対極にあるような面白いセリフが、さらに緊張感を生むと言うセオリーを熟知している。
この二人の会話が、そのまま観客の心情で、共感が持て、物語への没入感はハンパない。
この作品が高評価を得た証として、『セイラム2』も制作されました。
イリヤを演じた森山祐子は、写真集を出すまで人気が出ましたが、以降は鳴かず飛ばずで、2002年頃からは表舞台からも姿を消しました。
それ故に、イリヤ=森山祐子の印象は、僕の中では永遠の存在、それでいいと思っています。
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ヒッチ先生の【談話室】〜銃声を聞いてみろ
『セイラム』シリーズの前後には、時代劇を撮っている。
が、その時代劇、『未来忍者:慶雲機忍外伝』にしても、『タオの月』にしても、普通の時代劇とちゃうやろ?
逆に、この『ゼイラム』と言う現代劇には、時代劇のアウトローのようなゼイラムの姿がある。
つまり、古い映画には新しい設定を、新しい映画には古い感覚を、お互いに交差させる事で、なんとも不思議で、魅力ある絵が生まれているんやな
そう言われたら、後の「牙狼-GARO-」なんかも、まさにそう言えますね
無数に打ち込む銃弾、その銃声の響かせ方は、作品の最後を飾る事を充分に意識した音響設計で、カタルシスさえ感じる事ができるで
今度注意して観ます。
先生、今日もありあとうございました
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