『さらば愛しき女よ』 タフでなければ、生きて行けない、のだ!

1941年のロサンジェルスを舞台に、探偵マーロウは謎の女を追いかける!

   こんな人にオススメ!

  • キザなセリフに酔ってみたい
  • 謎めいたヒロインが好き
  • ハードボイル系が好き
  • 古き良き、そして悪しきアメリカ映画が見たい

どんな映画?

1941年のLAを舞台にした、レイモンド・チャンドラー原作のハードボイルド小説を映画化。作られたのは1975年だが、41年のムードを見事に再現している。
マーロウをロバート・ミッチャム、ヘレンをシャーロット・ランプリングが演じ、ここでは怪演に近い演技を見せてくれている。

▶︎▶︎▶︎ 家出少女の行方を突き止めた私立探偵のマーロウは、その現場で大男のマロイから、ヴェルマと言う恋人を探せと、半ば強引に依頼される。7年の刑務所生活から出所したら、彼女が消えていたと言う。
踊り子だったヴェルマの情報を、元バンドマンや踊り子仲間に聞いて回るが、誰も知らないと言う。
突然姿を現してはすぐに消えるマロイだったが、マーロウと一緒にいる所を何度も銃撃され、マーロウには関係ないと理由も打ち明けなかった。
身を守るために銃で反撃したマーロウは、姿を消したマロイを警察に突き出さないと、逮捕すると脅かされ、背後に怪しい気配を感じ取る。
そんな時、別の依頼人から、宝石と現金の引き渡しに付いて来てくれと頼まれ現場に行くと、何者かに襲われ、依頼人は殺されていた。
依頼元をたどると、宝石コレクターの大富豪の屋敷にたどり着いた。
そこで出会ったのが、若き人妻ヘレンで、マーロウは一目見た時からその魅力に惹かれてしまう。
マロイの秘密とヴェルマの行方、そして出会ってしまったヘレンとの運命は、やがて驚きの結末へと流れて行く……。


”こっちに来て座りたいと思わないの?“

見所&解説

見所はズバリ、時代を作り出した完璧な空気感!

レイモンド・チャンドラーの原作ファンから総スカンを食らった作品!
個人的にも、手放しで傑作だ! と言えるものでもない。
例えば、作品の長さが95分と言うのに、様々な事象が次々に起こる事。
この展開は、他ジャンルならそれも編集の見せ所と言えるが、ミステリーで、しかも原作があってここまで詰め込まれると、ただただ慌ただしい印象を受けてしまう。

でも、僕はこの作品が大好きだ。
オープニングの音楽は、LAと言う事もあって、ウェストコースト・ジャズで、しかもトロンボーンをフィーチャーしている渋さ。
1941年当時の空気感、マーロウ(これこそ私立探偵の制服!)や出演者たちのファッション、キザなセリフが否が応にもムードを盛り上げる。
殺された元バンドマンの男には家族があって、その幼い息子と友情にも心が震えるし、劇中、ヤンキースのジョー・デマジオ(後にマリリン・モンローと結婚)の連続試合安打記録が、時折、小説の章のように盛り込まれる。
深読みすると、どんな嫌なことも、ジョー・デマジオの連続安打記録ほど続かない、と前向きに捉えられる。

マーロウが口にする言葉は、比喩や暗喩、皮肉に自虐のオンパレードで、そこが好きだ。
原尞の「私が殺した少女」を読んだ時に、探偵沢崎のセリフにマーロウの影を大いに感じたのは、私だけではないはず。
とにかくセリフがいちいちカッコいいのだ。
シャーロット・ランプリングは、『愛の嵐』が衝撃的だったが、彼女のサメのような冷徹な目が好きだ。ファム・ファタールを演じさせたら、まず右に出る人は居るまい。

そして、人はタフでなければ生きていくことは難しく、優しくなければ、生きている資格がないのだと、この映画はその事を確かに教えてくれるはずだ。

「良い!」「いや悪い!」と両極端に分かれる本作。
一度ご覧あれ。
ハマる人は、どハマりすること請け合います。

○○○+○ エキストラボール

● 熱烈なファンがいる原作の映画化には、常に原作と違うじゃないか! と言う批判がつきものだ。
はっきり言っておきたい事がある。
映画と原作は全くの別物だと、割り切った方が、映画を見るにはいい。
その昔、角川映画のキャッチコピーに「読んでから見るか? 見てから読むか?」と言うのがあったけど、どちらも一長一短だよね、原作モノって。
でも、長い間映画を見て来てこれだけは言える。
初めてその映画を見る時は、なんの情報も知らないで見るのがベストだ、と言うこと。

● 時代の空気感を見事に再現した探偵モノと言えば、他にもある。
『チャイナタウン』『日曜日が待ち遠しい』だ。
『チャイナタウン』はロマン・ポランスキー監督、ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ出演の傑作だ!
『日曜日が待ち遠しい』は、フランソワ・トリュフォー監督が1983年に作ったモノクロ映画で、それを知らないで見ると、もっと昔の作品(1940年前後)だと勘違いするほどの空気感があります。(ただしこちらは素人探偵)
この2作品も、覚えておいて、何かのタイミングでご覧ください。

 



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