何度も見て気付いた、この映画の鑑賞方法と市川監督のワナ!?
どーも、ロッカリアです。
ついにGWの後半戦に突入しました。
映画もゆっくりと、楽しみたいですね。
この映画、実は僕の中で、それほど面白い映画ではない、と言うより、少し残念な位置付けだったんです。
ところが、今回見てみると、なんだか印象が違って見えたんですよね。
それは何故?
今日は、皆さんに、この映画が楽しめるように、深掘りしてみました。
こんな人にオススメ!
・金田一耕助シリーズが好き
・謎解きと都市伝説にワクワクする
・市川崑監督の作品が好きで興味がある
どんな映画?
素人探偵、浅見光彦が活躍する、ミステリー小説シリーズの映画化作品。
奈良県天川村の神社に、代々伝わる都市伝説、(田舎では、それを言い伝えと表現します)それを背景に起こる連続殺人事件。
作品ムードは、市川監督の金田一シリーズそのままで、登場人物の多くが、そのままスライド出演している様な、デジャヴに襲われる。
加藤武の警部補は、ここでも得意の「よし、わかった!」と楽しませてくれる。
▶︎▶︎▶︎ 新宿の高層ビル街で、突然死した男は、毒を飲まされていた。
その男が、天河神社のお守り「五十鈴」を持っていた為、仙波警部補(加藤武)は、部下と共に奈良に赴く。
ちょうどその頃、奈良県吉野村を訪れていた、ルポライターの浅見光彦(榎木孝明)は、小鳥を殺したと言う、とんでもない容疑で、駐在所にいたが、天川村で旅館をしている女将の長原敏子(岸恵子)の証言に助けられる。
無事に東京へ帰った浅見だったが、殺された男のニュースを知り、その男が天河神社の「五十鈴」を持っていた事を知り、再び奈良へ。
だが、理由はもう一つあった。
敏子にもう一度会いたかったからだ。
ところが、浅見が奈良に着いたその日に、崖で偶然話をした男が、翌日、崖下で死んでいるの見つかり、仙波警部補が二人を目撃していた事から、浅見は殺人の容疑をかけられ、勾留されてしまう……。
能の世界を舞台に、殺人事件に巻き込まれた浅見は、やがて、自ら事件の渦中に飛び込んでいくが……。

見所&解説
告白します。
今まで、何度かこの映画見て来たんですが、作品全体のトーンが、あまりにも東宝・市川崑監督の金田一耕助シリーズを彷彿させるので、どうしても比較してしまい、物足りなさを感じていました。
しかし突然ある事、に気が付いたのです。
何度か見ると、飽きてしまう映画と、どんどん面白くなって来る映画あると思うんですが、これは後者。
それは、市川崑監督の、絶妙とも言える演出に気が付いたこと、にあります。
それは今書くと、ネタバレになってしまうので、最後に記すとして、もう一つあるんです。
それは、この映画を見る僕自身が、金田一耕助の呪縛から解放されたから、だと思います。
出演者の顔ぶれ、市川崑の演出、宣伝文句「金田一耕助から十五年…天河に浅見光彦、走る」と言ったものに、勝手に取り憑かれていたんだと思います。
金田一耕助シリーズは、犯人は? トリックは? に比重が置かれていましたが、この作品は、都市伝説に始まる、ドラマ部分に重心が置かれています。
それは、ミステリー・ファンなら、きっと早い段階で、犯人の想像が付くと思いますし、トリック自体も早い段階で明かされています。
「薪能の夜に結ばれた男女は……」
この言い伝えが現実となり、悲劇を生み、人間模様が展開され、この人間模様が、謎解きより、面白いと感じられます。
「そりゃ何回も見れば、謎解きより、そっちに興味が移るわなぁ……」(心の声)
それに加えて、僕はやっと、市川崑監督の仕掛けた演出(罠?)に、今更ながら気が付いたのです。
ここからは、少しネタバレ気味なので、未見の人は読まないで下さいね
それは冒頭から仕掛けられていた!
駐在所に連れて行かれた浅見が、偶然通りかかった敏子の証言で助けられる場面。
あの瞬間、駐在所の入口に立つ敏子の顔は、逆光により影に包まれ、はっきりと見えませんでした。
この演出が、ずっと引っかかっていたのです。
なぜ、あえて表情を隠したのか?
そこで、ふと思ったのです。
この映画の舞台は「能」の世界。
能の舞台で演者は、能面をつけて演じます。
能面は固定された表情を持っていますが、光の加減や見る角度によって、笑っているようにも泣いているようにも見える、不思議なものです。
敏子が現れたとき、彼女の姿は映っているのに、逆光によって表情だけが見えない――。
それはまるで、彼女が能面をまとっているかのような演出です。
観客は彼女の「顔」を想像するしかなくなります。
そこに、演出上の大きな意図があったのではないか、と思うのです。
つまり市川崑監督は、観客を“能”の世界へといざなう最初の仕掛けとして、あの逆光の演出を選んだのではないでしょうか。
まるで「ここから先は、表情ではなく、行動や言葉、しぐさから人物を読み解いてください」と、観客に無言の指示を与えていたように。
そしてその延長線上にあるのが、本作の構造。
あえて犯人像を早い段階で匂わせながらも、登場人物たちはみな、どこか胡散臭い。
誰もが面を被っているかのように本心を隠し、それぞれの思惑や業が、物語に深みを与えていきます。
犯人の正体以上に、「人間とは何か」「真実とは何か」を描きたかった――
そんな市川崑監督の狙いが、冒頭のわずかな逆光演出にまで息づいてい他、と考えるのは、僕の妄想でしょうか……。
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