映画『本陣殺人事件』日本初の密室殺人、この謎を解く鍵は三本指の男か……!?

どーも、ロッカリアです。
やっと朝晩は涼しくなって来ました。
そうなると、秋の夜長、隣は何をする人ぞ……。
僕は俄然、ミステリー映画が見たくなり、同時にミステリ小説も読みたくなるんです。
今日紹介する作品も、そんな秋の夜長に見て欲しいミステリ作品の紹介です。
金田一耕助なら普通のミステリー、名無しの探偵なら面白い!?

・金田一耕助のファン
・ミステリーは映画も小説も好き
・横溝正史の小説が好き

金田一耕助と言えば、ヨレヨレのお釜帽に着物と袴が定番ですよね。
ところが本作の金田一耕助は、ジーパンに白シャツ、その上にジーンズのベストと、下手すりゃヒッピー?
に見えない事もない。
『悪霊島』(1981)にヒッピー役で出演していた古尾谷雅人みたいだ、と言えばピンと来る人もいるでしょうか。
何故、金田一耕助にジーンズを履かせて登場させたのかと言うと、全ては予算削減のため、現代での事件として制作することで、時代考証などを再現せずに作れるから、と言うのが理由らしいのですが、これはに個人的に意見があります。(それは後ほど)
また、日本家屋では、密室殺人は不可能と考えられていた昭和前期に、横溝正史はその常識を見事に破って見せた、だけじゃなく、日本家屋でしか考えられないトリックを考案しました。
それが映画のビジュアルにも反映されていて、改めて横溝文学の素晴らしさを世に示しました。
▶︎▶︎▶︎ 結婚式の夜、離れに居る新郎新婦の部屋から、絶叫に続き琴の音が激しく響いた。
何事かと母屋から駆けつけた人々は、扉にかんぬきが掛けられおり、屋敷には雨戸が閉められていた。
無理矢理こじ開けて中に入ると、新郎新婦は日本刀で斬られ殺されていた。
犯人はどこにも逃げられないと思い、屋敷中を探すが何処にもいない。
しかも、夜半から降り出した季節外れの雪に覆われた敷地には、足跡も残っていない。
現場には、弦が切れた琴と、屏風に、三本指の血の跡が残っているだけだった。
県警も頭を悩ませる完全なる密室殺人に、金田一耕助は挑む事になった……。

「今度は鈴子が死ぬ番なの……」

日本文学史上、初めて書かれた密室殺人事件が、この映画の原作「本陣殺人事件」です。
密室のトリックには、三つのパターンがあると思います。
・心理的に作られた密室
・機械的に作られた密室
・偶然に作られてしまった密室
まだ他にもあるかも知れませんが、ここで密室談義をするつもりはないので、とりあえず三つ。
心理的と言うのは、完全に密室では無いが、そう思わせるトリック。
偶然と言うのは、言葉通り、予期せぬ要因が重なったりして、出来てしまった密室。
機械的と言うのは、犯人が考えて、物理的に作り出した密室。
ミステリ作品を語る上で、詳しくは言えないが、ミステリの性質上、一番難しいトリックは、この密室を生み出す事、じゃ無いかと個人的には思っています。
そう言えば、世界で初めてのミステリ小説、ポオの「モルグ街の殺人」も、完全ではありませんが、密室殺人でした。
この作品、『本陣殺人事件』が、どの密室トリックに当たるのかは、自分の目で確かめて下さいな。
素晴らしいミスリード!
ミステリの要素において、重要な比重を占めるのがミスリード。
ミスリードとは、読者(観客)を結末とは違う方に誘導するテクニックで、これにハマると、絶対真相には辿り着きません!
僕は進んで騙されるのが好きなので、いつも引っ掛かってしまいます…(アホだアホ!)
バレバレでは、ミステリの興味は削がれるし、難解だと最後まで気付かず、スルーしてしまいます。
この作品、完璧でした。
これも詳しくは言えないので、自分の目で確かめて、そして騙されて下さい!
ここだけは見逃すな!
日本家屋では不可能と言われていた密室トリックを、完成させたアイデア。
僕の世代では、テレビや映画で何度も見て、ある意味慣れてしまいましたが、初めて見た時(読んだ時)は鮮烈でした。
金田一耕助がトリックを解明する前に、ぜひそのトリックに挑戦してみて下さい。(まあ、無理でしょうけど…)
もし、名無しの探偵物語なら…
この映画を、いつもの金田一耕助の作品(映画・テレビを含めて)として観ると、手放しで喜べる作品、とは個人的に思えないんです。
それは、やっぱり金田一のアイデンティティと言えるいつものファッションと異なり、ジーンズ姿に違和感を覚えるからです。
え? それだけ? と思われる人もいるでしょう。
でも、僕にとってはそうなんですよね。
三本指の男の謎、いつも通りの、ありきたりの推理しかできない県警、少し雰囲気が怪しい結婚式、完全なる密室トリック、足跡のない雪の敷地と、ミステリーを構築するにあたって、申し分のない設定なのに、予算がないと言う理由で、現代劇(1975年)にした弊害があるように感じます。
これは僕の妄想ですが、この作品を制作したのがATG(日本アート・シアター・ギルド)で、監督をしたのが高林陽一、と言う事を考えると、今までにない金田一耕助の創造と、新しい横溝作品の解釈に、舵を切ったのではないのか? そう思えてなりません。
何故なら、作品の舞台はほとんど田舎の屋敷で、現代のシーンなんて、ほんの一瞬しか出てこないのですから。(あくまで妄想です)
いっその事、アイデアだけを生かし、探偵役を金田一から、名無しの探偵物語にしていたら、この映画の評価は、僕の中で一段階上、になっていたと思います。
だからと言って、退屈なのかと言うと、作品自体は、充分に見応えがあります。
ただただ、個人的な、好き嫌いの問題なんです。
この映画で金田一耕助を演じた、中尾彬氏は、少し前に亡くなられてしまいました。
この作品の中でも、素晴らしい演技を見せてくれています。
中尾彬氏を偲んで、この記事をアップしました。(心よりお悔やみを申し上げます)


この記事をアップしたのが、10月7日。
実は、この日を「ミステリーの日」と定められているのをご存知ですか?
1849年の10月7日と言うのは、ミステリ小説の生みの親、エドガー・アラン・ポオが亡くなった日なんです。
それを記念(?)して、10月7日が「ミステリーの日」となったわけです。
今回はU-NEXTで見ました。
・U-NEXTなら、古い映画にもかなり力を入れています
また、<月額利用料>は2,189円(税込)ですがその中には、1200円分のポイントがあり、新作のレンタル料金に使えたりするので、Amazonで新作をレンタルするより、若干ですが、料金設定が低い(大体が¥399、つまり一月に4本ぐらいはレンタルできます)ので、Amazonプライムビデオで頻繁にレンタルする人にもおすすめです。(もちろん僕も加入してます)
まずは1ヶ月間無料でお試しを!(↓)

ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません