映画『大停電の夜に』 クリスマス・イブに、それぞれが再生する物語。
大停電の夜に起こる小さな奇跡、これはファンタジー映画です。
こんな人にオススメ!
- クリスマスには、ファンタジー映画が見たい
- ジャズと酒と、映像に酔いたい
- 最近ちょっと、落ち込んでいる
どんな映画?
クリスマス・イブの夜、人工衛星の一部が日本落ちて、東京が大停電になってしまう。
日本版『ラブ・アクチュアリ』のように、登場人物それぞれのエピソードが語られ、何かに引き寄せられるように、ジャズ・バーに集まってくる。
出来過ぎ、作り過ぎ、あり得ないと、この映画を批判することは簡単だ。
そんな事よりも、ファンタジーのように描きながらも、現実的な問題を抱えた人たちが、どう行動するのか、視点を変える事で、見えないものが見えて来る、そう言う映画なんです。
▶︎▶︎▶︎ 大停電に見舞われた東京。
元カノが再び現れる事を願うジャズ・バーのマスター、豊川悦二。
不倫相手から別れを告げられたOLの、井川遥。
死んだと思っていた母親が生きていると告げられた、田口トモロヲ。
離婚を考えている妻、原田知世。
妻に隠し子がいた事を知った宇津井健。
病気に絶望して、自殺しようとしているモデル香椎由宇。
それを目撃してしまう少年、本郷奏多。
出所して来て、女に家庭がある事を知った元ヤクザ、吉川晃司。
その男に会いに来られた妊婦の女、寺島しのぶ。
上海の恋人と遠距離恋愛で不安になっているホテルマン、阿部力。
そして、街行く人々の幸せを願うキャンドル・ショップの田畑智子。
それぞれのクリスマス・イブに、一体何が起こったのか?
見所&解説
見所はズバリ、キャンドルに灯され、浮かび上がったジャズ・バーの雰囲気と、圧巻のカメラワークだ!
人工衛星オタクの少年翔太と、モデルの麻衣子がこんな事を言っている。
「どの国の記録にも無い巨大衛星があって、コードネームをX00639と言うが、仲間の間ではゴッドと呼ばれているんだ。そいつが今日、日本の上空に現れ、一部が墜落したんだ」
「私、それを見たわ」
つまりこう言う事なのだ。
クリスマス・イブにゴッド、つまり神が降臨して、それぞれ悩んでいる人に奇跡を起こして見せた、悩んでいる人々の手助けをしたんだと。
そう考えると、決して書かれた脚本がご都合主義ではなく、心が暖かくなるように描かれた、クリスマス・ストーリーである、と言うことがわかる。
それぞれの悩みは、どのように解決していったのか?
答えは単純な事だった。
それは、自分の心の持ちようで、悪くもなるし良くもなる、と言う事だ。
何か特別な事が起こって、悩みが解決する。
例えば、貧乏のどん底にある人が、宝くじを拾うと、それが当たりくじで億万長者になり、幸せになった、と言うものでは無い。
この中の登場人物に、特別、物理的な奇跡が起こる、と言う事はない。
手術を控えたモデルの子もそうだし、離婚の危機を迎えた夫婦もそうだ。
妻の隠し子を知った夫もそうだし(他人の赤ちゃん誕生に、遭遇する事はあったが)別れた愛人もそうだ。
普段、自分の心がどこに向いているのか?
闇の方に向いているのか、それとも光の方に向いているのか、考え方次第で、心にのしかかった負担が軽くなるのではないか。
決して逃げるのではない。
だが、諦める前に、どん底だと思う前に、もう一度「考え方を変える」と言う方法で、心を再生出来ないものだろうか?
そう投げ掛けられているのを感じる。
停電と言うのも、考えてみれば心の闇、と言うメタファー(比喩)にも思えるし、その闇を照らす役を担っているのが、キャンドル・ショップの田畑智子なんだと思う。
キャンドルを、「あなたに幸せが来るように」と言って相手に渡す。
心の闇に、光が照らされますように、と解釈したい。
また、なんだかんだと書いてしまったが、もう一つだけ、何か問題に悩んでいる人にお節介。
「問題だ」と言う言葉をやめよう。
何か問題が起こったら、「問題」を、「課題」と言う言葉に置き換えよう。
不思議なことに、問題を課題に置き換えると、なんと無く解決出来そうな気がして来るんだ。
「問題」=深刻な出来事
「課題」=なんか解決作がある
これだけで、心はグッと軽くなるんじゃないかな。
映画から、どんな事が学べるのか、それは映画の見方に関わってくる。
映画をどう見るのか? それはあなた次第です!(って、どっかで聞いた…)
この季節に見るのは、ぴったりの映画です。
もちろん、楽しめます。
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