映画『食べる女』 腹、へった……。

2020年6月13日

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日常の生活の中に、「食」と言うファンタジーが現れる!

   こんな人にオススメ!

  • インスタントや冷凍食品ばかり食べている
  • 料理はあんまり得意じゃない
  • 食べるの大好き
  • 料理番組はつい見てしまう

どんな映画?

小泉今日子、鈴木京香、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス、山田優、シャーロット・ケイト・フォックス、壇蜜と言う豪華な女優陣が、食欲と、、愛を満たすために、頑張っていく姿を淡々と描いた作品。
約50品目にわたるレシピが目の前に展開する2018年の邦画作品。

▶︎▶︎▶︎ 古本屋を経営している作家トン子(小泉今日子)の家には、魅力的な小料理屋の女主人、美冬(鈴木京香)や、男運のない編集者のドド(沢尻エリカ)やショップの店員、亭主に逃げられた外国人妻などが集まってきては、料理と男の話題で欲望を満たしていた。
それぞれの人生に、男が及ぼす影響に翻弄されながらも、食べる事に手を抜かないと決め、人生をたくましく生きようとする姿があった。

見所&解説

見所はズバリ、次から次に出てくる美味しい料理!

小津安二郎監督の映画を観られた事がるだろうか? 映画通なら「当たり前だ」と怒る人もいるかも知れない。でも、今、若い世代の人からすると、「誰それ?」と言う人が多いだろう。
小津安二郎監督作品の特徴は、日常を丁寧に描き、人間を浮き彫りにして、人生の厳しさ、優しさを観客の心に埋め込んでくれる作家性の強い監督だ。(もちろん、小津調と呼ばれる完璧な映画技法あってできる表現だ)

この『食べる女』も、女性の日常を淡々と描いている。
普通にご飯を作り、普通に食べているだけなのに、食事の大切さが伝わって来る。
それだけじゃない。
日常の食べると言うありふれた光景が、ファンタスティックに見えてくるから不思議だ。
そこには教訓や、説教じみた感じではなく、知らない人の人生に入って、一緒に食事をしているような感覚だ。
『たんぽぽ』ほどエンターテイメント性はなく、『かもめ食堂』ほどペーソスでもない。
この映画を見る人が女性なら、登場するそれぞれの女性の立場になって見る事ができるだろう。
その立場によって、きっと見える風景も変わって来ると思う。
食欲と性欲をテーマにしたと言うことは、どう生きて行くのか? と言うことだと思うが、同時に、何をどう食するのか? と言うことを真顔で描いているのが、この『食べる女』だ。

僕も、娘が嫁いでから、毎日ご飯の用意を手伝っている。
もちろん妻がシェフで、僕はコックに過ぎない。
僕ははシェフの指示に従って炒めたり、焼いたり煮込んだりする。(味付けはもちろんシェフがする)
僕はこのブログでイラストも描いている。
料理も、イラストを描く、と言う事に似ている気がするのだ。
料理の一つひとつの作業が、とても創造的に思えるからだ。
何もないところから始まって、食材を切り、焼いたり煮込んだり味付けをする。
その行為が、デッサンを決め、線を描いたり色を塗ったりする事と、同じような感覚がする。
この映画を観て、また少し、料理をするのが楽しくなって来た。
僕は、まんまと、この映画の術中にハマってしまう、極めて良心的な映画バカなのかも知れない。(普通にバカだろ…)

それにしても、最後の卵かけご飯、あれは反則だよなぁ……。

○○○+○ エキストラボール

● 先日、大好きな、大好きなイラストレーターの和田誠さんが死去された。
和田さんのイラストに出会わなければ、僕はこうして、今ブログで絵を描いていない。
和田さんの奥さんは有名な料理家、平野レミさん。
亡くなられる直前、もう食べられない和田さんの横に、最後の料理を作って置いた。
そしてこう思われたそうだ。
「私にとっての一番の幸せは、和田さんにご飯を作ることだったんだ」と。

涙が止まらなかった……。



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Posted by rockaria